第33話:聖夜の戦隊、あるいは鉄の掟
「……いい、バロ。一秒たりとも映像を
記録することは、絶対に禁止だからね!」
私はバロのホログラムを指差し、
これ以上ないほど低い声で念を押した。
「もし隠れて録画なんてしてみなさい。
あんたの本体、即座にバラバラにして
不燃物の粗大ゴミに出してやるから!」
私の本気の脅しに、バロは一瞬だけ光を
震わせたが、すぐに澄ました執事に戻った。
『もちろんでございます、レイ様。
執事たるもの、淑女の秘密は守り抜くもの。
……さあ皆様! お好みの色をお選びください!』
バロが指を鳴らすと、ホログラムの
カラーパレットがサキたちの前に踊り出す。
「私、元気なイエローがいいな!」
「私は……落ち着いたブルーにしようかしら」
キャッキャとはしゃぐ親友たちを横目に、
バロは真砂さんへも優雅に一礼した。
『真砂様。昨日の訓練で着用されたピンクとは
別に、今から新品を生成いたします。
それは記念にそのままお持ち帰りください』
「えっ。……い、いいのですか?」
『ええ。自分にぴったりのスーツがあれば、
今後の訓練も捗るというもの。
私からの……いえ、当家からの贈り物ですぞ』
真砂さんは驚きながらも、
「感謝します……!」と、
嬉しそうにパレットを眺め始めた。
記録禁止の鉄の掟。
けれど、おじいちゃんの「悪知恵」が
このまま引き下がるとは、到底思えなかった。




