第24話:筒抜けの欲望、あるいは静寂の基地
おじいちゃんの醜い叫びが響き渡っていた、
その時だった。スピーカーから、
どこか遠い目をしたような野田さんの声が届いた。
『……古谷さん。いつの間にか外部スピーカーが
「オン」になっていたようだ。今の会話、
この場にいる全員に筒抜けだぞ』
その瞬間、おじいちゃんの喚き声がピタリと止まった。
地下施設全体を、形容しがたい静寂が支配する。
下を見れば、候補生たちが凍りついたような顔で
機体を見上げている。野田さんの溜息が、
マイク越しに深く、重く響いた。
『……もういい。これ以上やっても平行線だろう。
尾田曹長、降りてこい。今日の訓練は中止だ』
「……! 了解しました……!」
尾田さんは心底安堵した顔でハッチを開け、
逃げるようにコックピットから飛び出していった。
「……。ほら、言わんこっちゃない。
おじいちゃん、これ国家レベルの恥さらしだよ」
私が呆れ果てて呟くと、バロのホログラムが
激しく明滅し、うろたえ始めた。
『あ、いや……。わ、わしは……。
技術的な……そう、専門的なこだわりを……』
誰もいないコックピットに、おじいちゃんの
空虚な言い訳だけが虚しく響く。
結局、初日のレッスンは最悪な空気の中で
幕を閉じることになった。




