第22話:執事の偏食、あるいは絶対拒絶
「……ちょっと、バロ! 何でお断りなのよ。
現にこうして、ガソタムは起動してるじゃない!」
私の追及に、バロはどこか投げやりな
電子音を響かせて答えた。
『レイ様。この御仁は波形が違いすぎるのです。
ノイズが多すぎて、私の繊細な回路では
とても教育など施せません』
真っ赤な顔で座っている尾田さんの横で、
私はジト目でバロのホログラムを睨みつけた。
「……。バロ。もしかして、尾田さんが
女の子じゃないから嫌だとか、言わないわよね?」
『な、ななな……何を仰いますか!
私は高度な自律型AI。そのような
低俗な理由で職務を放棄するなど……!』
図星だったらしく、バロの声が激しく動揺する。
おじいちゃんのスケベ心は、私にはお見通しだ。
「いいからやりなさい! これは命令よ!
さっさとシミュレーションを開始して!」
私が強く命じれば、いつものバロなら
「御意」と答えるはずだった。けれど……。
『嫌です! ぜっっったいに嫌です!
男性の脳波を覗き続けるなど、苦痛以外の
何物でもございません。私は拒否いたします!』
「なっ……!? そこまで言うの!?」
執事の皮を被ったおじいちゃんの意固地さは、
想像以上に筋金入りだった。
コックピットの空気は、いよいよ最悪な方向へ
突き進んでいく。




