第19話:第2の候補、あるいは少年のような牙
真砂さんのシミュレーションが始まった静寂の中、
私は地上の野田さんに、先ほどの確信を伝えた。
「野田さん。ガソタムを起動するには、
あのピンクのパイロットスーツが必須みたいです」
野田さんは険しい顔で頷き、私の話に耳を傾ける。
「ただ、あれは私のサイズで作られています。
大柄な男性隊員では、物理的に着られません」
私の言葉を聞き、野田さんは鋭い視線で
整列した候補生たちを舐めるように見回した。
「……尾田、前へ出ろ!」
呼び出されたのは、一人の小柄な男性隊員だった。
確かに彼なら、ギリギリ着られるかもしれない。
「尾田美憂曹長です。自分に何か?」
私は彼の名前を聞いて、思わず口を突いた。
「美憂? 女の子みたいで素敵な名前ですね」
その瞬間、尾田さんの表情が怒りで激変した。
「ふざけるな! 俺は女みたいじゃない!
二度とその名前で俺を呼ぶな!」
掴みかからんばかりの勢いに、私が怯む。
すかさず、野田さんの雷が落ちた。
「尾田! 指導官に対してその口の利き方は何だ!
貴様の名前がどうあろうと、今は任務が最優先だ。
真砂が戻り次第、次は貴様があのスーツを着るんだ!」
野田さんに一喝され、尾田さんは屈辱に
唇を噛みながら、私をキッと睨みつけた。
あの子も、あのピンクを着ることになるの?
真砂さんとは別の意味で、波乱の予感しかしない。




