第17話:秒速の嘘バレ、あるいは苦しい言い訳
ガソタムが唸りを上げ、眩い光が溢れる。
沈黙を破る再起動の直後、コックピットの端っこに、
場違いなほど澄ました顔のバロが現れた。
「……ちょっと、バロ! 何が『私にしか
起動できない』よ! 思いっきり動いてるじゃない!」
私の怒声に、バロのホログラムが一瞬だけ
砂嵐のように激しく乱れた。
『え、あ……。あ、レイ様。これにはその、
深い……深~い事情がございましてな』
「深くないでしょ! 完全に嘘だったじゃない!
スーツさえ着れば誰でも動かせるってことでしょ!」
問い詰められたバロは、視線を泳がせながら、
聞いたこともないような「どもり声」で弁明を始めた。
『い、いえ! こ、この……そこに座っておられる方の
精神波形が、た、たまたまレイ様に酷似して
いたのでございます! 三兆分の一の奇跡ですぞ!』
「嘘おっしゃい! 三兆分の一がこんなところに
ピンポイントでいるわけないでしょ!」
『いや、本当です! 脳のシワの寄り方から、
性格の……その、少々残念な部分までそっくりで!』
「さらっと失礼なこと言ったわね!?」
コックピットの中で繰り広げられる、
女子高生と最新AIの醜い口喧嘩。
シートに座ったままの真砂さんは、
目の前のカオスな光景に、困惑を通り越して
ただ呆然と正面を見つめていた。




