第16話:鉄の胎内、あるいは二人の搭乗
ピンク色のスーツに身を包んだ真砂さんは、
表情一つ変えず、私の前で完璧な敬礼を捧げた。
「真砂聖奈二尉、着替え完了いたしました」
凛とした声。そのあまりに堂々とした姿に、
見ているこちらのほうが照れてしまいそうになる。
「……はい。ありがとうございます」
私は動揺を隠すように頷き、ガソタムを指差した。
「それでは……コックピットに乗ってください。
私が後ろから指示を出しますから」
「了解しました!」
真砂さんは躊躇なくタラップを駆け上がり、
巨大なハッチの奥へと吸い込まれていく。
私は借りたジャージを履き直し、
彼女のあとに続いて鋼鉄の機体へと登り始めた。
狭いコックピットの中。
真砂さんがパイロットシートに深く腰を下ろし、
私はその背後に立つようにして位置についた。
「真砂さん、メインキーを回して……レバーを引いて」
私の指示に従い、彼女が力強くレバーを引いた。
その瞬間。
ドォォォォォン……!
地響きのような重低音が、足元から突き上げた。
真っ暗だったコンソールに青白い光が走り、
無数の計器が生き物のように針を躍らせる。
「……動いた。起動したんだ」
あんなに何をやっても黙りこくっていたあの子が、
今、真砂さんの手によって目覚めようとしていた。




