第14話:適合の候補、あるいは真砂の決意
息を切らした部下が運んできたのは、
あの見覚えのある、鮮やかなピンク色のスーツだった。
私は既にコックピットから降り、
並んでいる候補生たちを改めて見渡す。
私の体型は、大きくも小さくもない普通サイズだ。
目の前の屈強な男性隊員たちが、
このピチピチのスーツに体を押し込めるのは、
物理的にどう考えても不可能だろう。
……困ったな、と思っていると、
列の端に、一人だけ小柄な女性隊員がいた。
「……あなたは?」
私が問いかけると、彼女は鋭い敬礼を返し、
自衛官らしい無駄のない口調で答えた。
「真砂聖奈二等空尉。
次期パイロット候補の一人です」
凛とした佇まいで、身長も私と同じくらい。
彼女なら、このスーツを着られるかもしれない。
「真砂さん。これを……、着替えてきてもらえますか?」
私は腕に抱えたピンク色のスーツを差し出した。
周りの男性隊員たちが「あの変な服を……?」と
困惑の視線を交わす中、真砂さんは迷わなかった。
「了解しました。……任務、遂行します」
彼女は躊躇なくスーツを受け取ると、
踵を返して更衣室へと向かった。
果たして、あの「おじいちゃん特製スーツ」は、
私以外の人間を受け入れるのか。
緊張感が、地下施設を支配し始めていた。




