第13話:起動の条件、あるいはピンクの鍵
私は腕を組み、目の前で仁王立ちしている野田さんに
一つ、確信めいた問いを投げかけた。
「野田さん。候補生の人たちは、
いつもどんな格好で操縦を試しているんですか?」
「……見ての通りだ。自衛隊の制式訓練服だが。
それが何か関係あるのか?」
野田さんは怪訝そうに眉を寄せた。私は何も答えず、
学校の制服のままガソタムのハッチを登り、
高い位置にあるコックピットへと乗り込んだ。
シートに腰掛け、起動レバーを力いっぱい引く。
……けれど、コンソールは真っ暗なまま。
「……やっぱり。私でも、この格好じゃ動かせないんだ」
私は確信を得て、シートから身を乗り出した。
ふと見ると、下にいる候補生たちが一斉に顔を背け、
野田さんまでもが、気まずそうに空を見上げている。
「……。あ、そうか。私、スカートだった……!」
高いコックピットへ潜り込む際、多分、盛大に
中が見えてしまったのだ。
私のことを侮蔑している割に、みんな意外と
紳士的というか、律儀な反応をしている。
私は顔が燃え上がるのを感じながら、
座り直して下に向かって叫んだ。
「野田さん! 没収した私の荷物の中に、
ピンク色のパイロットスーツがあったはずですよね?」
「あ、ああ。証拠品として別室に保管してあるが」
「今すぐそれを持ってきてください! 至急!」
私の必死な声に、野田さんは咳払いを一つして、
部下に鋭い指示を飛ばした。
「……聞こえたか! 第3保管庫のスーツだ!
直ちにここへ持ってこい! 全力だ!」
誰もいないガソタムの中で、私は確信していた。
おじいちゃんの「嘘」の正体が、
もうすぐ暴かれようとしていた。




