第12話:冷ややかな視線、あるいは鉄の門
冬休み初日。私は野田さんの用意した車に揺られ、
地図に載っていない地下巨大施設へと辿り着いた。
照明に照らされたガソタムが、静かに立っている。
「……。明日はクリスマスパーティなんだから、
今日の用事はさっさと済ませて帰らなきゃ」
サキたちの顔を思い浮かべた瞬間、脳裏にある記憶が
電撃のように走った。
あの日、二人が泊まりに来て
「帰りたくない」と言った時、バロは確かに言った。
『お褒めに預かり光栄です。ゲストの皆様。
当家への永住を希望されるなら、源造様の遺訓に基づき、
明日からレイ様と共に訓練を受けて頂くことも……』
……待って。昨日の話では、バロは「麗様にしか
起動できない」「精神波が登録されている」と言った。
でも、あの時サキたちにも訓練させると言ったのなら、
「私以外には動かせない」というのは真っ赤な嘘だ!
バロは何か「肝心な条件」を隠している。
精神波なんかじゃない、もっと物理的で、
私だけが持っている「何か」が鍵になっているんだ。
「古谷麗さん、紹介しよう。自衛隊から抜擢された、
次期パイロット候補生たちだ」
野田さんの紹介に、私は現実に引き戻された。
整列した隊員たちの目は、明らかに私を侮蔑している。
「……野田官僚。我々が、この『子供』から教えを請うと?
こんなオモチャ、我々なら数日で乗りこなしてみせる」
一人の隊員が鼻で笑う。
私は、目の前のガソタムと、着慣れたあの
「ピンク色のスーツ」のことを思い浮かべた。
もしかして、あの子が動かない本当の理由は、
この人たちが「アレ」を着ていないから……?




