第12話:バズる守護神、冷汗(ひやあせ)の代償
デモ活動を何度か続けているうちに、
事態は最悪の方向へ転がった。
……なんと、私がSNSで大バズりしてしまったのだ。
制服に黄色いヘルメットを被り、メガホンで叫ぶ姿。
それが『地元を守る美人女子高生』として拡散され、
地元の新聞やテレビニュースでも大きく
報道されてしまった。
……違う。私は美人でも守護神でもない。
ただの、違法建築とガソタムを隠したいだけの
必死な女だ。
スマホを開くたび、私の写真がタイムラインに
流れてくる。
冷汗が止まらない。
手のひらは嫌な湿り気をおび、鼓動は早鐘のように
打ち鳴らされる。
普通の平屋に地下室があるなんて、
誰も想像しないはずだ。
誰もおじいちゃんの家に興味なんて持っていない。
分かっているのに、有名になればなるほど、
地下のガソタムの存在を悟られるんじゃないかと
気が気じゃない。
「……麗ちゃん! これ、市の広報から届いたぞ!」
デモ隊のリーダーが、一枚の書類を誇らしげに
持ってきた。
そこには、市役所からの公式な呼び出しが
記されていた。
『再開発事業における、区分地上権設定に関する協議の申し入れ』
計画の重要拠点である土地の持ち主として、
代表者数名と共に、話し合いの場を設けたいという
提案だ。
……ついに、直接対決の時が来てしまった。
話し合いにはメディアも入るという。
もし、交渉の場で「地下の地質調査をさせろ」と
言われたら?
私の平和な日常は、もはや薄氷の上に立っている。
冷汗を拭い、私は震える指でその
書類を握りしめた。
負けられない。
地下に眠る十八トンの秘密を、
暴かせるわけにはいかないのだ。




