第11話:絶叫のジャンヌ・ダルク
やるしかない。バレたら人生終了なのだ。
私は翌日の放課後、再び市役所前の広場に立っていた。
学校の制服に、おじいちゃんの倉庫にあった黄色のヘルメット。
手には、昨晩寝ずに書き上げた手作りのプラカード。
「……再開発、反対ーーッ! 地下を掘るなーーーッ!」
私、麗は、デモのリーダーから借りたメガホンを握る。
もしドリルがガソタムに当たったら、火花で家ごと吹き飛ぶ。
スタバより、シネコンより、私の平穏な戸籍が大事だ。
「掘削は、この町の地盤を傷つける大罪です!」
……実際は、私の家の違法建築がバレるだけだけど。
なりふり構っていられない私の姿は、鬼気迫るものがあった。
黄色のヘルメットを被り、涙目で訴える女子高生に周囲がどよめく。
「見ろよ、あの源造さんの孫娘さんを……」
「若いのに、あんなに覚悟を決めてヘルメットまで……」
デモに参加しているお年寄りたちが、目頭を熱くしている。
「感心じゃ。今の若者は自分勝手かと思っとったが、
麗ちゃんほど郷土愛に溢れた子がいたとは……」
「そうだ! 麗ちゃんを、あんなに悲しませるな!」
……違う。感動しないで。私はただ、自分が怖いだけ。
お年寄りたちのやる気に火をつけてしまい、デモは加速する。
「反対! 反対! 麗ちゃんに、平穏な夜を!」
いつの間にか、私はデモ隊のセンターに担ぎ上げられていた。
シュプレヒコールの中心で、私はだらだらと冷や汗を流す。
これ、目立ちすぎて逆に怪しまれないかな……。
でも、止まったら掘られる。掘られたらガソタムが出る。
私は、さらに深くヘルメットを被り直した。
地下に眠る、十八トンの『爆弾』を死守するために。




