第10話:禁断の処方、あるいは強化人間の影
「……バロ。何か、他の人でも動かせるような
方法って無いの? このままじゃ詐欺になっちゃう」
私は縋るような思いでバロに問いかけた。
バロは少しだけ沈黙し、淡々と説明を始めた。
『方法が無いわけでもないのですが……。
特殊な薬物投与や、強力な催眠暗示によって、
他者の脳波パターンをレイ様と同一にするのです』
バロはホログラムで脳の図解を表示する。
『そうすれば認証を突破し、操縦は可能になります。
ただし、副作用として人格が崩壊したり、
精神が著しく不安定になったりいたしますが』
「は?」
あまりに物騒な内容に、私の顔が引き攣る。
『要するに「強化人間」を作るということで……』
「だめぇぇぇぇー!!! ストップ!!」
私は腕で大きなバツ印を作り、全力で叫んだ。
「そんなの絶対にダメ! 一生、許可しない!
何よ強化人間って、そんな物騒な方法、
おじいちゃんの脳内だけで完結させておいてよ!」
私の剣幕に、バロは慇懃に一礼して引き下がった。
薬で人を改造してまでロボットを動かすなんて、
そんなの、絶対にあっちゃいけないことだ。
けれど、他に方法がない以上、私は「動かない」
と分かっているガソタムの前に、
立たなければならないのだ。




