116/202
第8話:苦渋の契約、あるいは取引の成立
沈黙が居間を支配する中、私は深く息を吐き、
目の前の冷めたお茶を見つめてから顔を上げた。
「……分かりました。やります。
その代わり、約束は絶対に守ってください」
私の決断に、野田さんの鋭い眼光がわずかに和らいだ。
「情報規制の方は、本当にお願いします。
それと、あくまで学校生活を最優先にしてください。
私は……まだ普通の高校生でいたいんです」
九条さんは満足げに微笑み、優しく頷いた。
「もちろんよ、麗さん。
あなたのプライバシーは国家が全力で守るわ。
授業を欠席させるような真似もしないと約束する」
野田さんも姿勢を正し、重々しく口を開いた。
「……承知した。古谷麗さん、君の条件は全て飲もう。
私も、約束は守る主義だ。君の日常を乱すような
無粋な真似は、部下たちにも厳重に禁じておく」
こうして、私は「ガソタムの教育係」として、
政府という巨大な組織の一部に組み込まれることになった。
自由を手に入れるために、私は再び、
あの鉄の塊が待つ場所へと足を踏み入れる。
それが、さらなる波乱の幕開けだとも知らずに。




