第6話:不適合の証明、あるいは平穏への執着
野田さんはさらに身を乗り出し、険しい表情のまま、
絞り出すような声で衝撃の事実を続けた。
「……防衛力への転用を決め、我々は自衛隊の中でも
選りすぐりのエリートパイロットたちを招集した。
陸海空から集めた、操縦の天才たちだ」
野田さんは拳を強く握り、卓を見つめる。
「だが、誰が座ってもガソタムは沈黙したままだ。
システムすら立ち上がらん。……まるで、
お前たちに用はないと、拒絶されているようだった」
居間に、重苦しい沈黙が流れる。
野田さんは意を決したように、私を真っ直ぐに見つめた。
「古谷麗さん。君に、講師として
協力してほしい。自衛隊員に、あの機体の
操縦法を教えてやってはもらえないだろうか」
その言葉を聞いた瞬間、私の心に冷たい拒絶感が走った。
あんな恐ろしい重圧、あんな孤独な戦い。
それを他人に教える? またあの子に関わる?
「……嫌です。絶対に、お断りします」
私は遮るように、はっきりと拒絶の言葉を口にした。
「私は、普通の女子高生に戻りたかったんです。
ガソタムも、戦いも、もうこれっきりにして……
静かに冬を越したい。それだけなんです!」
野田さんの鋭い眼光が、さらに厳しさを増す。
「君一人の平穏のために、この国の防衛のチャンスを
捨てろと言うのか! 今の日本には……!」
「そんなの知りません! 私は、ただの子供なんです!」
叫ぶように言い放ち、私は顔を伏せた。
おじいちゃんの残した「力」が、再び私の首を
真綿で締めるように、じわじわと追い詰めてくる。




