第3話:聖夜の予感、あるいは逆転の矛先
カレンダーが最後の一枚になり、
学校の中もどこか浮足立った空気に包まれていた。
「ねえ麗、今年のクリスマスはどうする?
女子だけで集まって、盛大にパーティしない?」
サキが目を輝かせて提案してくる。
私は、お弁当を食べながらニヤリと笑って返した。
「えー、いいの? 女子だけで。
サキこそ、あの隣のクラスの男の子とはどうなったのよ?」
私の言葉に、サキの顔が瞬時に真っ赤に染まる。
「ちょ、ちょっと! 藪から棒に何言ってるのよ!」
「だって気になるじゃない。クリスマスの予定、
本当に空けておいていいの? 後悔しても知らないわよ」
意地悪く畳み掛ける私に、サキはぷうっと頬を膨らませ、
横で笑っていたチカと目配せをした。
「……それを言うなら、麗のせいでしょ!
あのガソタム事件のせいで、街中が大騒ぎだったんだから。
私の恋バナなんて、あやふやになって消えちゃったわよ!」
痛いところを突かれ、今度は私の喉が詰まった。
「そ、それは……。ごめんってば」
「いいわよ。その代わり、当日はケーキ2倍ね。
『伊達じゃない』救世主様のおごりで!」
悪友たちの笑い声に、私は苦笑いを浮かべた。
冬休みの宿題、クリスマスの予定、
そして放課後の他愛ないお喋り。
あの戦いの中にいた時には、二度と戻らないと
思っていた普通の時間が、今はただ愛おしい。
私は窓の外に広がる冬の青空を眺めながら、
温かいお茶で、浮き足立つ心を落ち着かせた。




