第2話:鉄の箱の残響、あるいは過ぎ去りし夏
あの嵐のような夏休みの事件から、
気が付けば秋が過ぎ、風が肌を刺すような
厳しい冬の入り口に差し掛かっていた。
おじいちゃんの残した「ガソタム」に
文字通り人生を振り回されたけれど、
あの巨大な鋼鉄の塊は、今はもうここにない。
政府に没収されたあの子は、今頃どこかの
厳重な施設で、解体される日を待っているはず。
家宅捜索が入ったこの地下ドックも、
結局、事件の特殊性からお咎めなしとなった。
隠し地下室が見つかったせいで、
今年の固定資産税が跳ね上がったことだけが、
あの事件が現実だったと突きつけてくるけれど。
「この家自体も、ガソタムと同じ特殊合金で
できているんだぞ」とおじいちゃんは言っていた。
でも、外見はどこにでもある普通の平屋だ。
警察も、まさか家そのものが兵器級の素材だとは
夢にも思わなかったみたい。
秘密にしていたことも全部バレちゃったし、
……もう、私が隠しているものは何もない。
少しだけ有名人になっちゃったけれど、
やっと、普通の高校生活に戻れるんだ。
こたつで丸くなるバロのホログラムを眺めながら、
私は温かいお茶を啜り、小さく息を吐いた。
そう、このまま何事もなく、
静かに冬を越していけるのだと信じて。




