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外伝 第5/6話 誓約あるいは無償の扶助
しばらくして、おじいちゃんが
静かに部屋へ戻ってきた。
その手には、一枚の紙が握られている。
旦那は、おじいちゃんの気迫に押され、
渋々ながら別れることを承諾したという。
おじいちゃんは懐から離婚届を取り出し、
その場でサインをさせたのだ。
「もう、これであんたを縛るものは
何もない。……だがな」
おじいちゃんは彼女の目を見て、
ぶっきらぼうに続けた。
「いきなり着の身着のままで、新しい
生活ができるもんでもねえだろ。
落ち着くまで、好きなだけここにいろ」
出ていきたくなったら、それでもいい。
あんたの自由だ。……そう告げて、
おじいちゃんは彼女たちを守る決意をする。
それからの日々、おじいちゃんは
必死に働いて、彼女と赤ん坊の生活費を
すべて稼ぎ出し、二人を養い続けた。
バロがその献身的な日々を熱く語る傍ら、
私はソファに寝そべって、
スマホで友達にメールを打っていた。
「……送信、と」
『……れい様。ワシの感動的な語りを、
少しは真面目に聴いておりますかな?』
「聴いてる聴いてる。おじいちゃんが
ただの『お人好しな苦労人』だったって
ことは、よく分かったから」




