外伝 第4/6話 断絶あるいは騎士の横顔
おじいちゃんが当時住んでいた、
古びたアパートの一室。
「雨露は凌げるだろ。
好きなだけいてもらっていいぜ」
おじいちゃんの不器用な厚意に、
彼女は深く頭を下げた。
そうして数日が過ぎた、ある日のこと。
買い物に出た彼女は、最悪なことに
旦那に見つかってしまった。
アパートに土足で押し入る旦那。
「どこをほっつき歩いてやがった!」
罵声を浴びせ、腕を掴み上げる。
やめてと懇願する声に、赤ん坊の
泣き叫ぶ声が重なった。
そこへ、おじいちゃんが現れる。
「やめな。自分の嫁に乱暴するなんて、
とんだクズ男だな。……てめえに
嫁いでくれた女なんだ。一生大事に
するもんじゃないのかい?」
「うるせえ! 引っ込んでろ!」
殴りかかる旦那の拳を、おじいちゃんは
最小限の動きでかわす。
直後、鋭いカウンターの蹴りが炸裂し、
旦那は床で悶絶した。
おじいちゃんは彼女に向かって
「どうしたい。一度は愛した男だろ。
許すのか、それとも許さないのか」
おじいちゃんの問いに、彼女は
はっきりとした拒絶を口にする。
「もう信用できません。……別れたいです」
「任せろ」
おじいちゃんは旦那の襟首を掴み、
そのまま玄関へと引きずっていく。
「お前みたいなのを、女の敵って言うんだ。
……安心して任せな」
ホログラムが映し出す緊迫した光景を、
私はいつの間にか用意した
お茶とお煎餅を片手に見入っていた。
「……バリ、バリバリ……」
お煎餅を噛み砕く音だけが、
感動を台無しにする勢いで居間に響く。




