第101話:九月の喧騒、あるいは夏の終わり
留置所にいた間に、暦はいつの間にか九月になっていた。
学校側は、街を救った事情を考慮して今回の件は不問に
してくれたが、「宿題は提出せよ」という通知だけは
容赦なく届き、私は泣きながら机に向かうことになった。
「……日本を救っても、宿題からは逃げられないのね」
学校に登校すると、教室は案の定、お祭り騒ぎだった。
クラスメートからの質問攻めは、今も毎日続いている。
マスコミに関しては、国民の署名で釈放されたのだから、
少しは恩返しに協力しようと私は考えていた。
学業や私生活に支障をきたさないという約束で、
いくつかのインタビューに応じてきたけれど。
夏の終わりが近づくにつれ、あれほど凄まじかった
取材の熱狂も、ようやく落ち着きを見せ始めていた。
季節が少し進み、夏も終わりかけた秋の夕方。
私はおじいちゃんの家の縁側に座り、隣にバロを置いて、
涼しくなった風に吹かれながら庭を眺めていた。
ガソタムが飛び出した跡は綺麗に修復され、
庭先では秋の虫たちが静かに合唱を始めている。
「……終わっちゃったね、おじいちゃん。私の夏休み」
私がぽつりと呟くと、バロから一瞬だけノイズが走り、
あの懐かしい、深く、そして慈しむような声が響いた。
『麗……。お前が守ったこの街の夕暮れは、綺麗じゃろう。
よく頑張ったな。……ワシの孫でいてくれて、ありがとう』
おじいちゃんの言葉に、堪えていた涙が頬を伝う。
一番星が輝き始めた空を見上げ、私は静かに微笑んだ。
明日からもまた、騒がしくて愛おしい、
あなたが守りたかった、この日常が続いていく。
第1章、最後までお付き合いいただき
本当にありがとうございました!
おじいちゃんの地下遺産を巡るドタバタ劇、
楽しんでいただけましたでしょうか。
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