第99話:閃光の守護、あるいは執事の帰還
マスコミの怒号とフラッシュに押し潰されそうになった、
その時だった。私の背後、つまり家の門扉の方から、
この世のものとは思えないまばゆい閃光が爆発した。
私はちょうど家の方を向いていたから逃れられたが、
詰め寄っていたマスコミたちは正面からその強烈な光を
まともに浴びてしまったようだ。
「うわっ! 目がああああ!」
「なんだ今の光は!? 何も見えん!」
さっきまでの喧騒が嘘のように、彼らは頭を抱えて
ふらふらと、放心状態のままその場を立ち去っていく。
静寂を取り戻した玄関前で、呆然とする私の前に、
見慣れた青白いホログラムがふわりと現れた。
『お帰りなさいませ、レイ様。少々、
無作法なネズミたちが多すぎたようですね』
「バロ……! 無事だったの!? っていうか、
何よその喋り方。おじいちゃんに戻ったんじゃないの?」
私が思わず突っ込むと、バロは慇懃に一礼してみせた。
『フフフ……。私の本体は最初からこの屋敷にあります。
あの時はオンラインでガソタムの席にいただけですから、
機体が没収されても、私に影響などございませんよ』
おじいちゃんの用意周到さに呆れながらも、
私は胸の奥がじんわりと温かくなるのを感じた。
『さあ、中へ。最高のお茶を淹れさせていただきます。
お疲れ様でした、レイ様。……よう頑張ったな』
最後の一言だけ、あの懐かしいダミ声が混ざる。
私は泣き笑いのような顔で、ようやく「自分の家」へ
足を踏み入れた。




