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第193話

「では、黒條さん。自己紹介をお願いします」


 横に立つ先生からそう言われると彼女はそっと頷く。既にその姿に心奪われている空気が凄いクラス全体を見渡した後、眼帯の少女は口を開く。


「神奈川から来ました。黒條零です。皆さん、宜しくお願いします」


 頭を下ろすと美しい銀の横髪がサラっと下を向き、クラス中から拍手が送られる。


 自己紹介とはいえ、神奈川から来たこと以外を語らず、その声音から、とても大人しく静かな印象を受けた。


 右目を覆う黒い眼帯も相まって、銀髪が窓からの日差しによって照らされていてとても綺麗だ。が、どこか他人を寄せ付けづらいオーラがあるように見えた。銀髪に合うあの黒い眼帯はどんな怪我をしてつけることになったのだろうか。


「黒條さんの席はあそこね」


 転校してきた彼女の席はというと。一番後ろにある窓際の空席であった。


 そこに向かって、席に挟まれた通路を彼女は移動を始める。みんなの視線が彼女の動きに注目する。

 そんな様子を気怠けな目で追っていると、


「あ……」


 ちょうど当人が目の前を通りかかり目が合った。近くで見ると引き込まれそうなくらい綺麗な左目。片方が眼帯なのもあり、左目そのものと視線が際立つ。その目は真っ直ぐで強い信念が伝わり、凛々しい。



 最初の休み時間、クラスのみんなは早速、転校してきた銀髪隻眼の彼女に夢中だった。


「ねえねえ黒條さん、神奈川のどこから来たの?」

「趣味は?」

「好きなアニメとかないの?」


 彼女の座る机を大勢が囲み、質問攻め。どんどん投げかけられる質問に対し彼女は、


「川崎から来た」

「読書。推理小説をよく読む」

「アニメは勉強忙しくて観れてない」


 男女が混在したミーハー連中が相手でも彼女は臆せず答えていた。それは声からも分かる通り落ち着いていて冷静で大人しく、クールな佇まい。


 渋谷の住宅街のマンションから歩いてこの小学校に入学時から通っているので転校生という立場を経験したことはない。この時期に転校生がやってくるこの光景は何度か見たことがある。正直、転校初日から早くもクラス中の注目を集めるのはどういった気持ちなんだろうか。


  渋谷は一見すると駅前のハチ公前広場などの名所や高層ビルが立ち並び、常に混雑しているイメージが強いが、それは広い渋谷区のごく一部であり、渋谷駅から離れた所には静かで落ち着いた住宅街や公園、学校もちゃんとある。ただ空気は美味しくなくて、こんな場所に転校してくる理由は、やはり親が東京各地の色んな場所に電車やバスで行きやすくて便利だからだろうか。


 少し肩にかかる銀髪に黒い眼帯。女でも美しさ以外にカッコよさもある。その容姿も相まって、人気者路線まっしぐらになりそうな彼女のその様子を机に座って伺っていると、


「ごめん。みんな、用事があるんだ。そろそろ」


 逃げるように足早に教室を出ていってしまった。さすがに休み時間ずっとは応対しきれないだろう。


 正直、彼女が気になる。その後も転校してきて間もない彼女の様子を、自然と授業中も遠くから見ていた。


 先生から指されると計算問題も難なく解いてみせるし、国語の音読も読み方がとても声が強弱ついて丁寧で、



 ――あぁ、アイツ頭良さそうだな……



 こんな自分に比べたら、何でも出来そうであった。頭の中に全部入れていて把握している。姿勢から何までしっかりしている。それにひきかえ、こちらは何をしたら良いのか分からないままだ。


 


読んで頂きありがとうございました!

療養でトータルで一か月弱休むことになってしまったので立て直しの途中であります。

転校してきたら休み時間から色んな人に声かけられるのはあるあるだと思ってますw


4年前なので諒花と零は小学四年生、10歳。

他のキャラ達は4年前何をしていたのかを当時の年齢(数え年)とともに紹介。第二弾です。

諒花が前作人狼少女1の序盤から戦う二人と紫水。この時点で大物なレイヴンも紹介です。


シーザー(20歳) 居酒屋でバイトしながら裏社会ではまだ目立ってないが売り出し中。調理は大ハサミではなくちゃんと包丁を使う

樫木麻彩(19歳) 殺し屋稼業をしながら裏社会で売り出し中。この頃から人殺しや黒い噂が絶えず見えない恐怖をもたらした

滝沢紫水(13歳) 中学入学を機に念願の陸上部を志すもメディカルチェックで不合格になり、酷く落ち込む。奇しくも諒花もその後13歳で同じ苦しみを味わうことになる

レイヴン(27歳) 総帥レーツァンに代わりダークメアを仕切るスカールを補佐する幹部。死屍累々の中を平然と歩き、闇夜を舞い、敵方から恐れられる

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