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第189話

「クッ……ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!」


 頭を下げるフォルテシア・クランバートルを高らかに嘲笑したのはスカール。全員の視線が一斉に彼に向く。


「ど、どうしたんだよスカールさん」

 大バサミのシーザーでもその高笑いには戸惑うようだ。


「ホント、なっさけねえ話だぁ!!!!」


「今までウチと散々やり合ってきたくせに、いざ危機的状況になったら頭下げて、協力を呼びかけお願いしますだ……?」


「これは世も末だ。秩序を守るはずのXIED(シード)が機能していないぞ。そちらだけで丸く収められないからこうして懇願してるんだろう?」


「はい……」


 今は頷く。今はそう言われても仕方がない。XIED(シード)は本来、異能絡み、つまり裏社会からの脅威に立ち向かう側なのに。素直に頭を下げたまま返事をする他ない。


「ま、滅多に表に姿を見せないのは表向きで実際は誰も会ったことがない奴がトップの時点で、お前らは終わってるがな」


 顔を上げる。実際その通りだ。常に画面越しの中郷への特段強い忠節や敬意を抱くわけがない。この場に対処しようにも簡単な話ではない事情もある。


「この事態に援軍を要請しようにも、証拠がなければ警察も動けませんし、XIEDシードも首謀者カトルズの正体が長官である以上、難しいでしょう。その中でも動ける者に事情を説明しても時間を要します……渋谷に仕掛けられた爆弾を見つけ出し、解除するためには人手が必要です」


「刑事さん。あんたが警察にどうにか事情を説明して何とかならねえのかよ」


 頼るようにその方を見て言ったのは大バサミのシーザー。


「いや、俺も同感だ」


 だがとうの蔭山は深刻そうに腕を組んだ。


「普段から警察とXIEDシードの橋渡し役だから俺は説明できる。だがすぐに動ける体制にするのは難しいな。第一、あれだけの大都市で住民だって避難させる必要がある。パニックになるぞ」


 その通りだ。街に爆弾があるからと避難を呼びかければ街は混乱に飲み込まれる。


「ところで爆弾が仕掛けられてるのが渋谷の街ってことはそれは渋谷区全体なのか? それとも駅周辺のことを指すのか? あと数はどうなんだ。」


 そう問う蔭山。


「爆弾が仕掛けられている場所は渋谷の街としか分かりません」


 今の所は分からない。翡翠もどうなのかは知らない。彼女も内心は急いでいるようであった。


「爆弾は全部で7つあります。全ての爆弾が文化の日の終わりとともに一斉に爆発します――!」


「7つもあんのかよ……!」


 蔭山をはじめ一同に再度衝撃が走る。それでも余裕な態度を見せているのはさっき笑った不死王スカールだ。


「あそこは高層ビルが立ち並び、住宅地もある。7つも爆発させて俺ら裏社会のゴロツキのせいにすれば、よくある謎の爆発や火災とかよりも説得力があって、世間は納得するだろうな……飛んだとばっちりだ」


 そうだ。異人ゼノ同士の抗争は超常現象みたく謎の爆発や火災といった形で報道では扱われる。皮肉めいた話に蔭山も言及する。


「表向きは渋谷で起こった抗争の末の大規模な爆破テロってことになるだろうな。仮に今日を丸々費やしたとして、応援要請はともかく住民避難までは難しい。それで残り24時間弱で爆弾捜し回ったとして、全て処理できるか……」


 爆弾がどんなものか、仕掛けられた場所はどこなのか。それも予想を難しくしている。


 蔭山は更にこちらに問う。


「敵の狙いは諒花なのか?」


 もう、その通りである。


「はい。敵は渋谷全体を人質に取り、諒花さんを誘い込もうとしています」


 諒花が行かなければ敵は渋谷を破壊するだけでなく、彼女を思い通りにするために違う手段を使ってくるだろう。例えば爆破テロを犯罪組織が起こした要因を彼女になすりつける……など。


「クソッ、よりによってあの人狼女をご所望ってわけか。急展開すぎるだろ……! XIED(シード)の長官がここまでやるのか……!」


 シーザーの言う通りである。だがこの盤面は自ら手を汚さずコントロールしてきた、正体不明の果てしなく強大な権力者、中郷だからこそでもある。


「敵の目的はなんなんだ? なぜ諒花を誘い込む?」


 蔭山は再び追及する。


 

 ここからが本題だ。渋谷のどこかにある7つの爆弾だけではない。


 敵は――銀髪隻眼の彼女だ。



 彼女と初月諒花を――。



 次の答えを待つ全員の目を強く見る。



「それは――」



 待ったをかけるように電子音が響く。それは先ほどまでの着信音やマナーモードの振動音ではない。シンプルな着信音。それを取ったのはスカール。


「どうした? 今取り込み中だ……」



「なに? 渋谷から謎の軍勢が南下してこっち来てる? 状況を報告しろ!!」


 そうこうしているうちに来たようだ。カヴラが待っていた援軍だろう。この恵比寿は渋谷駅のちょうど南に位置する。ここまで来てもおかしくはない。


 スカールのみが先に足早に階段の方へ向かい、早々と駆け下りていく。


 話を中断された。後にしよう────。




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