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第187話

 蛇拳王カヴラは姿を消した。


 それよりも先ほど逃亡前の彼の口から出た会話が気になった。何者かに倒された化蛸についてだ。先にここに到着した彼は見ていないのだろうか。


「スカール。化蛸はどこにいるのですか?」


「知るか!」


 振り向いてこちらを見てそう吐き捨てる。彼も見ていないようだ。


「俺達が来るよりも前に、カヴラに留守を任せてどこかに行ったという」


 離れた所にあるビルから、ワイルドコブラが陣取るこのホテルの様子を早朝から見ていたが、その間、気配も感じなかった。構成員の一人に化けたりしてこっそり抜け出したのだろうか。化蛸は自身の異源素ゼレメンタルの気配を悟られないようにするのも長けていた。


「ん?」


 それは着信音ではなく、激しくブルブルと静かで機械的に震える音だった。こんな外で響きにくい場所でもまるで何かを知らせるように。


「お疲れ様です。翡翠様」


 その音とともにスマホを取り出して電話に出たのは石動だった。それは青山の女王によるものだった。



「はい。我々は現在、恵比寿にいます。フォルテシア様や合流した他の皆様もいます。何かありましたか?」



「はい……はい……」



「はい…………はい……」



 石動は翡翠から伝えられたことに冷静に頷いていく。



「…………! かしこまりました、ただちに……!」


 目を丸くした石動はそっとこちらに近づいてきて、



「失礼します。翡翠様があなたと話したいと」


「私が、ですか?」


 石動から受け取ったスマホを手にとって耳に当てた。



「はい、私です」


『フォルテちゃーん! ご無沙汰しています!』


 それは昔から知っている彼女の上品で明るい声だった。高校時代、彼女とは同じ学校で同級生だった。勿論、日本である。


『ゆっくり話をしたい所ですが、あなたに大至急、お伝えしたいことがあります。最後まで聞いて下さい』



「なんでしょうか?」


「――――――――え」


 翡翠の口から明らかになったこと。それは。



 まず化蛸のダーガンは初月諒花が倒したのだという。岩龍会時代に君臨し、敵味方両方から恐れられ、表向きは死んだ後もその悪行が伝説となっていたあの化蛸。


 それをよく彼女が倒したものだ────生け捕りにした化蛸の証言でいくつか明らかになったことがあると翡翠の話は続いていく。


「はい……」



「そんな、越田組はもう……」



 ────とっくの昔、2013年に滅んだはず……! 確かに確認している。なぜ……?


「はい……なるほど」


「はい……!」


「はい……はい……はい」


 すると一度滅んだはずの越田組が復活した理由と、更に伝えられる、これまでをひっくり返す真実。


 化蛸のバックで糸を引く更なる闇。背景に潜んでいたそれこそが今回のワイルドコブラによる抗争の正体であった。

 


「それは……本当ですか!? 彼女が……!」


 更にずっと捜していた彼女……黒條零がここで……



『ではそういうことで、宜しくお願いします。ご足労おかけしますが、時間タイムリミットはもう始まっています。早急に対策を話し合いたいです。では』



 唐突な翡翠からの電話が全て終わった。体感的に10分ぐらいだったが、スマホに出た通話時間は14分を回っていた。


 ――これは……大変な事態になった。


 こちらが電話中、シーザー、蔭山、スカール、石動の四人はその様子を見ながら、シーザーと蔭山はひそひそ話をしながら聞く耳を立てていた。石動とスカールはこちらの様子をじっと見ていた。


「フォルテシア様。翡翠様とどのような会話を交わされたのですか?」


 スマホを石動に返すと早速内容を尋ねてきた。


「結論から言いますと、まず今回のワイルドコブラによる抗争の背後にはそれを企てた別組織が存在します」


「カヴラの奴が渋谷に逃げたことと関係があるのか?」

 スカールが続けて訊いてくる。


「はい、カヴラが逃げ去ったのも合流するためです。その組織は今も暗躍を続けています。彼らは渋谷にいるのですが、心して聞いて下さい────」



 意を決して、この事態を一言で表す。



「彼らは、渋谷の街を破壊しようとしています……!」




「────なんだと……!」


 その瞬間、蔭山をはじめ一同に衝撃と動揺が走った。無理はない。反応したり尋ねるよりもこちらが話をするのを待っているようだった。


 なぜ破壊されるのかを明かす前に説明することがある。一つずつ、話していく。


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