燃える水
視界を覆うのは、青い青い、海よりも空よりも、この世の何よりも青く燃え上がる水。
燃える水の中に、私は1人。1人でただ燃える水を眺めている。
水を見つめている私の中には何の感情も無い。
感情があるのは、私を取り囲むように燃える水だけ。
水が激しく波打って燃えるほど、水の温度は下がっていく。周りの空気が冷たく、水に囲まれた私が凍えそうになっても、燃える水が凍りつくことはない。
燃える水は燃える水で、燃える氷にはなり得ない。
水面に波紋を作るだけの穏やかな燃え方をしているときは、水の温度は程よく温い。
真ん中にいる私は、トロトロ燃える水に身を任せて、ウトウト眠りについてしまう。
今日の水は激しく燃えている。
激しく燃えているのに、水に少しでも触れて仕舞えば、パシャンッと音を立てて消えてしまいそうなほど、か細く燃えている。
今日の感情は、後悔。それも激しく重たい後悔。少し温度も低いから、悔やむ気持ちに哀しみの感情も混ざっている。
居心地が悪いほど後悔に燃える水は、バシャバシャと水滴を私の顔に、体に飛ばしている。
次から次へと、制服についた水滴がシミを作っていく。水滴を吸収した私の髪から、シトシトと吸収しきれない水が滴り落ちる。
燃えているのに冷たい水は、私の体の熱を奪っていく。
少しでも熱を奪われないように、体を小さく小さく丸めて、両手で膝を抱えて座り込む。
座り込んだ私の頭に、背中に、水滴がピチャピチャ降り注ぐ。
ずぶ濡れになってしまった私のことは見えていないから、燃える水は激しさを増す。
私の中から熱が、どんどん奪われていく。指先など、とうの昔に感覚が無くなっている。
早く、穏やかにトロトロ燃える水に戻って。これ以上冷たい水が私を冷やしてしまう前に、早く立ち直って。
そうでないと、私は死んでしまう。私によって、殺されてしまう。




