表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/6

燃える水

 視界を覆うのは、青い青い、海よりも空よりも、この世の何よりも青く燃え上がる水。


 燃える水の中に、私は1人。1人でただ燃える水を眺めている。

 水を見つめている私の中には何の感情も無い。

 感情があるのは、私を取り囲むように燃える水だけ。


 水が激しく波打って燃えるほど、水の温度は下がっていく。周りの空気が冷たく、水に囲まれた私が凍えそうになっても、燃える水が凍りつくことはない。

 燃える水は燃える水で、燃える氷にはなり得ない。


 水面に波紋を作るだけの穏やかな燃え方をしているときは、水の温度は程よく温い。

 真ん中にいる私は、トロトロ燃える水に身を任せて、ウトウト眠りについてしまう。



 今日の水は激しく燃えている。

 激しく燃えているのに、水に少しでも触れて仕舞えば、パシャンッと音を立てて消えてしまいそうなほど、か細く燃えている。

 今日の感情は、後悔。それも激しく重たい後悔。少し温度も低いから、悔やむ気持ちに哀しみの感情も混ざっている。


 居心地が悪いほど後悔に燃える水は、バシャバシャと水滴を私の顔に、体に飛ばしている。

 次から次へと、制服についた水滴がシミを作っていく。水滴を吸収した私の髪から、シトシトと吸収しきれない水が滴り落ちる。

 燃えているのに冷たい水は、私の体の熱を奪っていく。

 少しでも熱を奪われないように、体を小さく小さく丸めて、両手で膝を抱えて座り込む。

 座り込んだ私の頭に、背中に、水滴がピチャピチャ降り注ぐ。

 ずぶ濡れになってしまった私のことは見えていないから、燃える水は激しさを増す。

 私の中から熱が、どんどん奪われていく。指先など、とうの昔に感覚が無くなっている。



 早く、穏やかにトロトロ燃える水に戻って。これ以上冷たい水が私を冷やしてしまう前に、早く立ち直って。

 そうでないと、私は死んでしまう。(感情)によって、殺されてしまう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ