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第八幕 魔手の囁き 第三場 好奇の森で
(あれが妖精というものか?)
ふいに薄物を被ったように
月の光が淡くなる
彼らが過ぎても木の葉は揺れず
おれに踏まれて枝は鳴る
幼い貌にはそぐわないほど
憂いを含んだ碧い瞳
透けるような肌というより
まるで肉体そのものが
結晶のように穢れなく
触れれば灼けるかに思われた
あれが妖精というものか
どうしてラムダの館にいるんだ
息を殺していることが
これほどまでにつらいのは
音を消しつつふたりを追って
駆けてきたからだけじゃない
思いのままに描いては消す
悪戯のような銀の軌跡は
酔いを醒ます蝶のように
定まらず 読みとれず
鬱蒼とした深夜の森で
追尾するのに骨は折れたが
逆巻くように血がめぐり
左の胸が激しく打つのは
息を切らしたからじゃない
あいつはラムダの何なのだと
邪推するにはあまりにも
清々しくも神々しい
夜と未明の戯れの絵図
雷神ソールの金槌の
怒りを買うかもしれないが
おれはただひたすらに
罪の意識もおぼろげに
盗み見するのを止められない




