#18 同じ舞台に上がった仲!(1)
バトルで傷付き衣装や防具も汚れる展開は、神代自身熱さを感じます。
リノンに関しては彼女の内面の気高さを出す為にも、必ず入れねばならないと思っていました。
「まったく、無茶するんだから」
ナナカがそー言って呆れながらも、あーしに優しく微笑んでくれてる。
「ホントだよぉ、けどどうやら勝負あったようだねぇ」
あーしファンのおばちゃんも、ほっと一息吐いた様子で親指を立ててる。
「あはっ、おばちゃん中々ポップなリアクションするじゃん」
これにはあーしもつい笑いがこぼれちまった。
「ゼクレイ、ゼクレイっ!」
……エルギアドがゼクレイににじり寄って、必死に呼び掛けてる。
「……うっさい」
ゼクレイは割とフツーのトーンでそー言いながら、エルギアドの顔を叩いた。
「ぷおっ!?」
何が『ぷおっ』だよ。
「酷いぞゼクレイ! キミを心配して声を掛けているというのに!」
いや、だからそれはお前が単純に嫌がられてるからだよっ。それをなんでまだちょっと上から目線で接してんだよ……。
コイツホント何が恐ろしいって、こんなにも情けねー姿晒しながら、それでも自分はカッケーぞオーラを出し続けやがるからな。
ったく。……嫌さはあるけど、コイツとも一回ガッツリ話しとくか。
「エルギアド、とりあえずお前はもー寝てろ」
「何ぃ!? ファリシアの聖女よ、キミに僕の行動を制限することなんて出来ないぞっ」
「いやここあーしの寺院だし……。あんまゴチャゴチャ言ってるとフェイロード城に引き渡しちまうぞ」
「ふん。そうしたところで今の僕は、魔物の守り神封印の鍵を持ってないがなっ。ちゃんと安全な場所に隠してあるんだっ」
やっぱりだコイツ! 相手し出したらめっちゃ食らいついてきやがるっ!
「あーもーホントうっせえな! 別に今その品物の事を一番に考えちゃいねーよっ。あーしは警察ってワケじゃねえし、何よりも聖女だかんなっ」
勢いで強い感じに言っちまったけどこれについてはマジにあーし、そー思ってるぞ。
「ぐ、ぐむむっ。け、警察という言葉は僕も知ってるが、キミは人の法というものでは動かないということか?」
ちょっと落ち着いて話すわ。
「ああ、そーだよ。それにな、あーしは危険な存在ってヤツの為に、他の人達への信頼を薄っぺらいもんにはしたくねえんだ。――そんなの、なんか腹立つだろ。手前の意思で頑張ってる人の事を、あーしが軽く見てるみてーじゃん」
「みてーじゃんって……。いや、そういう風に言われたら、その心は分からなくもないってなるが……。だが、ならばファリシアの聖女よ、キミはそんな者達に対しどう在るつもりなんだ?」
ん? そーゆー質問してくるんだ?
「そーだな。強いて言えばその、なんだ、あーし自身無茶なこと言ってる自覚はあるけど――」
いや、これはちょっとマジで考えてみよーかな。
「――あー、そーだ。あーしは皆にとっての、いざという時の切り札になりてーかな。それなら話通るじゃん、うん、それで決定」
これだ。多分、な?
「む、むうぅっ!! 切り札になるとは、大きく出たな。或る意味、恐れを知らない考え方をするものだ」
エルギアドのヤツ、意外とすんなり受け入れるのな。……ってそーいや、コイツもコイツで大それた考えしてるヤツだったわ。
そーだよな。手前が無茶な考え持ってるのに他人の無茶思考には文句言うとか、それこそダサダサのダサだもんな。
「……そーだな、あーし自身そー思うわ。それにさ――」
なんか気分がノッたかもしんねー。話してる内に、なんか思ってもなかったことがあーしの口から出てきた。
「それに、何だ?」
「お前が封印の鍵を持ってるんなら、少なくとも今後、それ狙いでフェイロード城が誰かに襲撃されるって心配は無くなる。そうだろ?」
「――っ! あ、当たり前だ、僕を誰だと思ってる!」
……へへっ。なんとなくお前はそー答えるって気がしたぜ。はっきり意識はしてなかったけど、ホントなんとなくさ。
「おー良い返事だなっ。よし、話して疲れたろ。――おーい修道士達、このボロッボロの魔道士をベッドに運んでやってくれー」
「は、はいっ」
「おい僕はまだ元気だぞっ。勝手に退場させるな――ああっ、やめろ僕を連れていくなぁーーっ!」
良ーんだよ、この辺で話終わっといて。これ以上長話になると、お前絶対ウザさが出るだろーからな。
寧ろ長く話してやった方だよ。
修道士に両手を引かれて床をずりずりと引きずられながら、エルギアドは礼拝の間から消えていった。
それを見てた礼拝者の子供二人が話し出す。
「ねえねえ、あのお兄ちゃんずっと狐耳のお姉ちゃん心配してたねー」
「そーだねー。一生懸命でなんかちょっと、カッコ良かったかもー」
ええっ!? マ、マジか……。凄えな、子供の純な感性だとアイツの事そんな風にも見えんのか……。
あーしはカッケーまでは思わねーけど……。
二人は男の子と女の子で、揃って目を輝かせて話し合ってる。そっか、そーなんだ……。
ま、まあいいわ。それよりもゼクレイだ。
「おーい、まだ元気してるかー?」
ヤツの顔を覗き込みながら、そー尋ねる。
「はあ、はあ……お前のムカつく顔見たら元気になったわよ……」
ゼクレイはそー言ってしかめっ面してきた。まあ、『お前をぶん殴りたいって気持ちが湧いて元気になった』って意味だろーな。
けどさっきまでみてーな激しい表情からはだいぶ弱々しくなってるし、声も静かだ。気持ちは有っても体力の方がもう底を尽いちまってるんだ。
それでもコイツは、どーにか立ち上がってきた。ぜえぜえと肩で息しながら、あーしを真っ直ぐに見てきてる。
……不思議なもんだな。こー静かにしてると、コイツの顔の印象ってだいぶ変わってくるんだ。
切れ長の目に花緑青のアイライン。
さっきまでは激烈に熱い怒りの目を際立たせてたこの色彩が、今は落ち着いた目のそのクールさを、冷たく深みのあるものへと昇華させてるって感じる。
――(2)につづく!――
リノンの魅力にご興味頂けたなら、⬇︎にあるブックマーク登録と評価をよろしくお願いします!




