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#17 激熱、あーしとゼクレイ!(2)

ゼクレイ、動きます!

「い、イケてる名前だな。ゼクレイさん……」


 痛みに片目を(つむ)りながらヤツの名前を呼んでやる。どーあれ折角教えてくれたんだ、だったらちゃんと呼んでやらなきゃ悪いってもんだぜ。


 サーニス公が言ってたよーに、あーしよりもちょっと背が高いゼクレイ。


 耳の部分まで足したなら更にそこそこの差になるけど、まあそこは厳密じゃなくていーだろ。


 ゼクレイはあーしが頭を上げよーとしたところを、下から掬い上げる感じでパンチを繰り出してきた。


「――くっ!?」


 今漏れて出たのはゼクレイの驚きの声だ。


 ヤツのパンチをあーしが手のひらで受け止めたから驚いたのさ。


「一応、あーしも少しは体鍛えてるんでね。まあエクササイズ程度にだけどな、へへっ」


 ニホンではまあホントにその程度だったけど、ゼルトユニアに来てからはマジで色々と体動かしてきたからな。


 経験値、溜まってんだよっ。


 ……あーしに襲い掛かるゼクレイに対し、修道士達がどーしたもんかと()()()()してる。


 それは別にしょーがねーなと思ってたけど、ただこのタイミングでめっちゃ余計なヤツが乱入してきやがった。


「ま、待つんだゼクレイ!」


 この聞き覚えのある男の声は……。


「エルギアドぉ!?」


 寺院の入り口のところに、あの闇の魔道士エルギアドが立ってやがった。


 確かに城を襲った時コイツらは仲間同士だったけど、今回お前は呼んでねーよ?


 ただ、コイツの今の見た目は気になる。


「お前、めっちゃボロッボロじゃねーかっ!」


 (ローブ)は所々ズタズタになってるし、それ以上に顔! ちょっと()りむいてるし、鼻血まで出ちゃってるじゃん!


 コイツの登場に周囲のざわつきもより激しくなった。


 そりゃそーだ。


 フェイロード城に乗り込んで場を引っ掻き回した闇の魔道士エルギアドは、今じゃ街中の有名人だからな。そりゃあもー悪い意味で。


「……」


 ゼクレイが無言でエルギアドの方を見てる。なんかあからさまに険悪ムードって感じ。


「ゼクレイ落ち着くんだ。今こんな目立った行動をして何にもならないぞ」


 エルギアドが()()()()とした足取りであーしらに近付いてくる。


 おっ? ゼクレイのヤツ、あーしから手ぇ離して()()()()とエルギアドの方に歩き出したぞ。


「ゼクレイ、むぐぉっ!?」


「ちょっ!?」


 この女いきなりエルギアドの顔面を掴んで、そのまま地面に引き倒しやがった!


「ごちゃごちゃと、うるっさい!!」


 更にヤツの足を持ち上げて、あーしの方へと投げ飛ばしてくるっ!?


「危なっ!」


 間一髪(かんいっぱつ)、ギリギリのところで()()()っとエルギアドを(かわ)すことが出来た。


「――へぶらだっ!?」


 物凄え奇声を発しながら、礼拝者が腰掛けられる用に備え付けてる椅子へと激突するエルギアド。


 うわぁ、めっちゃ痛そーじゃん!


「だ、大丈夫かエルギアドぉ!!」


 必死に呼び掛けるあーしに、ナナカの冷静なツッコミが飛んだ。


「いや、あんな派手に避けといてそれは幾らなんでも無理あるわよ……」


「だ、だってコイツエルギアドだしっ! 煌綺妙杖(ベルサレェト)出してたワケでもねーし、しょーがねーよっ!」


 とにかく必死で言い訳を決める。……ま、まあ大丈夫だって。エルギアドはそんな簡単にくたばるよーなヤワじゃねえもん。


 ――(3)につづく!――

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