↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
37/50

#15 ファリシアの基本理念!(3)

ファンタジー作品内での職業(クラス)に関するお話って、神代は結構好きなんです。笑

「かつての魔王が倒れてすぐの頃は、魔王軍残党の動きも相当乱れてたんじゃい。軍に関する重要な品なんかも、散り散りになった」


「魔物の守り神の本体もそのひとつってことか」


「そうじゃい。……ある日、えらく風格のある魔物の男がワシらの里に現れてな。傲慢(ごうまん)さ剥き出しで里の者に接してきよったが、ワシが立ち向かって止めさせたんじゃい」


 その時点で、あーしはもうドナキロの言おうとしてることに()()とは来たよ。


 けど話の肝心なところを聞く前に、これだけは言ってやりたかった。


「ドナキロ、お前はその頃からやっぱイケメンだったんだな」


 笑顔でそー言う。コイツはやっぱり、あーしの頼れる友達(ダチ)なんだってな。


 ドナキロのヤツ、いつもみてーに照れ臭そーにしてやがるぜ。へへっ。


「う、うむぅ。と、とにかくじゃな、その男はワシの行動を逆に気に入ったらしくてな、懐から手のひらサイズの石像を取り出してワシに渡したんじゃい。――この魔神像を勇敢なオークの里に託す、とそう言ってな。そして男は何処かへと去ってしまいおったんじゃい」


 なるほどな、やっぱりそーゆー展開になったか。


 魔神像、ねえ……。


「かつての魔物の守り神は変幻自在だったと聞きます。石となり眠りについた際、大きさや見た目が変化したということは考えられますな」


「そっか。……ドナキロ、その男は魔王軍のヤツだったのか?」


「すまんが分からんのじゃい。何者か尋ねはしたんじゃが――名前などは捨てたわ、などと偉そうに言ってきおってのう」


 なんだそりゃ。カッコつけてるつもりなのかよ、ソイツ。


 ……まあソイツ自身のことはいーか。今肝心なのはその魔神像のことだ。


 本当に封印された魔物の守り神の肉体なのかは、まだ明らかじゃねえ。


 でも元々魔王軍残党はドナキロの里にもちょっかい掛けてきてるし、ソイツらにもエルギアドにも渡していいもんだとは思えねーな。


「どうする? また今度改めてその魔神像のことをサーニス公達に伝えるか?」


 だけどそのことについては、デゼルは首を横に振った。


「ドナキロが心配しているのもありますが、それとはまた別に、私には内密にしておいた方がよいという思いがあります」


「理由はなんだ?」


「我らが女神ファリーリーはこの世界に生ける者達の精神の躍動――その中でも特に情熱(パッション)発露(はつろ)(つかさど)っています。故に個人や組織間に生じる善悪を主眼に置いて介入することは好みません」


情熱(パッション)発露(はつろ)、か」


 なんとなくだけど、あーしにはデゼルの言ってることが分かった。


 そんなあーしに、デゼルはゆっくりと頷く。


「リノン様はフェイロード城でサーニス公やレティシア姫だけでなく、見る者によっては悪と断じるであろう魔道士エルギアドに対しても、その()()()()()お心で向き合いなされたのでしょう?」


「まあ、ぶっ飛ばしはしたけど、それでも確かに『悪いことしやがってコイツ!』みてーには思ってなかったな。――手前(テメー)の思いが溢れ過ぎたんだなって、しょーがねーなコイツって、そんな風に思ってたよ」


「そうですな。そしてその者をフェイロード城の者が捕らえることには、こだわってはおられませんでした」


「……うん」


 デゼルが微笑む。


「それで良いのです、ファリシアの者としてはそれで、ね。サーニス公達は善に属し信頼も置ける方々でありましょうが、それでも、彼らだけに肩入れをして彼らの思いのみを広めてしまっては、世界に存在する他の者らとの軋轢(あつれき)を逆に加速させることに繋がってしまいます。……争いというものは生き物が生きる上では決して避けられぬもの。しかしそれならば、せめてそれぞれの思い達が自らの誠心誠意で躍動をし続けられるよう調律(ちょうりつ)一助(いちじょ)(にな)う。それがファリシアの理念であり、女神がその聖女たれと見込んだリノン様に成していただきたいことなのです」


「デゼル……」


 最後の方の言葉を言ってた時には、デゼルは優しげな顔をしてた。


 大変なことだけど、それでもあーしならきっとやり抜いてくれると信じてるっていう――そんな思いが()()()()と伝わってくる表情だった。


「そー出来るよーに頑張るよ、デゼル。けど多分、あーしの場合いちいち頭で考えてやる感じじゃねーだろーけどな、へへっ」


 ちょっと苦笑い気味に、ほっぺたを掻きながらあーしはそー答えてみせた。デゼルと、それにドナキロもあーしの言葉に微笑んでくれたのが嬉しかった。


「よっし。早速だけどデゼル、お前に頼みがある」


「なんですかな?」


「ここらでドナキロにファリシアの加護を与えてやろーと思うんだ。三人で話し合って決めた、例のドナキロに合わせた加護の上級コースの方のヤツをな。だからその下準備として、ドナキロを連れてファリシア寺院御用達(ごようたし)の清めの場に行ってほしい」


「リ、リノンちゃんっ!」


 ドナキロが喜び半分、そして驚き半分って顔で身を乗り出す。


「フェイロード城での従者役もこなしたし、エルギアドとの戦闘(バトル)ではあーしの心を支えてもくれた。もう文句言う修道士は居ねーよ」


「ふっ、確かにそうですな。その大役しかと引き受けさせていただきます。……しかしその間、寺院の主要人物はリノン様お一人となってしまいますぞ」


 デゼルの言葉に、あーしはふっと笑ってみせる。


「ちょびっとだけ緊張するけど、でも今あーしはテンション上がってる状態なんだ。だからやってみせるよ。――ついでにヤツへのアプローチも、なんとかしてやってやるつもりだ」


「ヤツって誰なんじゃい?」


狐野郎(ウェアフォックス)の変異種とやらだよ。……あーし的に、本当に今一番気になってるのはソイツだからな」


 これはあくまで直感だけど。


 あーしがこの世界の者として生きよーとする上で、ソイツの存在は避けちゃいけねー壁だって気がするのさ。


 ――#15 おわり!――

リノンの魅力にご興味頂けたなら、⬇︎にあるブックマーク登録と評価をよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。