#14 これが聖女のマジバトル!(5)
リノン流聖女バトルの真価が今ここに!
「いや、踊っているのは見れば分かる! 何故今この状況で踊ってるんだと聞いているんだ!」
「説明なんて出来ねーよ、ノリでやってんだから!」
「ノリで、だと!?」
超絶信じられないって顔のエルギアド。
けどあーしは別にふざけてるワケじゃねー。
「本気んなって戦闘すんのが楽しいなって、そー思ったのはホントだ!」
街の小悪党を相手に余裕でボッコボコにしてた時は、そんな風には思わなかった。
けど今こーしてピンチにまでなってんのが、逆に楽しくって仕方ねーんだ。
姫さまがあーしを心配してくれる。
「聖女様、本当に平気なのですか! 精神をも蝕む闇魔法、それを受けてそんなにも動いては貴女の消耗が激しいのでは!?」
姫さまの気遣ってくれるその気持ちが、あーしの心に染みてくる。
「別に平気じゃあねーっすよ、姫さま」
「では何故そのように微笑んでいられるのですっ!」
時々ターン決めてるからな、後ろの姫さまにもバッチリあーしの顔が見えてるってワケだ。
「この闇魔法はマジハンパないっす。だから反抗するばっかりじゃなく、どーせならこの闇魔法と……友達になってやろーって思ったんすよっ!」
「友達!?」
「ば、馬鹿なっ!?」
姫さまとエルギアドが派手に驚く。
ドナキロは言った通りあーしを信じて、あーしのダンスに合わせて頷きながらリズムを取ってる。
「――じゃい――じゃい」
よしっ、いいリズム感だぜドナキロ!
……へへっ。もちろん『友達になる』ってのはあくまで喩えだ、比喩っていうヤツだ。
学校の嫌な先生やクラスに数人は居る気の合わねーヤツらを相手してた時でも、零か百かの二つだけで敵だ味方だと決めちゃいなかった。
別にいつでもじゃなくて良いんだ。『じゃあこの時だけは味方同士な』って感じで、好き嫌いと事の良し悪しを分けて考えりゃそんなに難しいことでもねー。
ただ、強いて言えば魔法に関しちゃ、あーしは自分の魔力を女神から貰っただけだってことに、少し負い目は感じてた。
どーにも手前の魔力に対して、ノリきれてなかったんだ。
だからその分……魔力ってもんとはあーしの方から積極的に抱擁してかなきゃって、ずっと思ってた!!
貰い物じゃなく、友達の力を借りる――あーし自身がそーゆー風に思えたなら、魔法を使うことにも胸張れるからっ!
「闇と友達になるって、そんなことが可能なのですか!?」
「大丈夫っすよ。……あーし、ニホンじゃ陰キャやってるヤツとも割と仲良かったんでねっ!!」
ニホンの学校でのことを思い出す。
陰キャってヤツは一見暗めでノリも悪そーだけど、あーし的には結構話し易かったりもしたんだよな。
人並み程度の妬み恨みとかって実は誰でも持ってるもんだけど、陽キャと違って陰キャは、仲間内ではそれを変に隠さねーことが多い。
でもそーゆーはっきりしたところがさ、逆にあーしには好感が持てたんだ。
気の合う合わねーが激しかったのは逆に陽キャ以上だけど、気の合った陰キャとはあーしも内面曝け出して話せた分、最早ストレスフリーに近い間柄だったんだぜ。
そうだよ、あーし。ニホンにも色んなタイプのヤツが居たことを思い出せ。
大きな目で見りゃあこの世界の魔法だってそれと同じだ。色んなタイプの魔法に、あーしなりの向き合い方をすればいーんだ。
闇だからなんだってんだ、向こうには病みメイクなんてもんも有ったじゃねーか。
字が違ってよーがネガティブさ出してく系って意味では、ほぼ一緒だっ!
「……あはっ、そっか。闇と病み、そー考えればあーしにも分かり易くなってきたぜぇっ!!」
あーしの踊りに必死で食らい付いてくる闇の魔力。
へへっ、悪くねー根性してるぜ闇魔法っ。
ネチョネチョしたその根っこの深い強さ、使わせて貰うぜ! いーよな!
「これは……僕の闇魔法が!?」
驚愕するエルギアドの目の前で、あーしはヤツの闇魔法餓溶黎黒の力を逆に取り込んでいく!
闇の魔力のネガティブな波動。それを撥ね除けよーとするばかりでなく、今度はこっちから合わせていくつもりでダンスにアレンジを加えていく。
腰をよりくねらせて妖しさを、指先にニュアンスつけて艶かしさを表現させる!
「魔力のオーラが目に見えるもんだってんならよー、それを纏うこともまた見た目のコーディネートに繋がるよなぁっ!」
「調整? 僕の闇の魔力と自分の魔力とを親和させたというのかっ!!」
その通り! あーしの体に食らいついていた闇のオーラが、今は少し離れて、あーしのダンスに共鳴するかのよーに踊ってる!
黒くっ、妖しくっ、そして色っぽくっ! ネガティブ・テイストすら時に武器にするオトナのよーにっ!
煌めくあーしに新たな魅力の上乗せをしてくれてるんだっ!
「さあっ、反撃させてもらうぜぇっ!!」
食らえっ! これがあーしの感性で編み出した、あーしならではの超魔法だーーーっ!
「螺旋嶺華!!」
煌綺妙杖から膨大な魔力が放たれる。
それは激しく咲く黒の螺旋の花弁になって、エルギアドを飲み込んだ!
「ぐおおおおおっ!!」
螺旋の花弁のオーラは凄まじい勢いで、謁見の間から城の外の壁までブチ破る。
――完全に勝負アリ、だな!
――(6)につづく!――
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