#14 これが聖女のマジバトル!(3)
勇壮系に含まれる魔物であれば、それが一見アンデッド風なヤツでも浄化魔法で即昇天とはなりません。
以上ワンポイント講座でした。笑
下卑たって言葉の意味が分からず戸惑うあーし。
そんなあーしに姫さまが話しかけてきた。
「聖女様、下卑たとは『卑しい』、または『意地汚い』という意味ですわ」
あーなるほど。そーゆー風に言ってくれると分かるわ。
「あ、そーなんすね。さーせん姫さま、気ぃ利かせて教えてくれて」
「……私の部屋で話していた時と同じような、『言葉の意味が分かんねーんすけど』みたいな雰囲気をお出しでしたので」
姫さまはため息混じりにそー答えた。
うっ……。すまねーなっ、言葉を知らない元・女子高生でよー!
アレだろ? こーゆーの『語彙力が無い』って言うんだろ? ツイッターでよく見たから知ってるわ。
そのあーしの無い語彙力に、エルギアドまでもが呆れ顔でツッコミ入れてくる。
「さっきキミの能力の高さを称賛――いや褒めたけど、しかし言葉の勉強はイマイチなようだね……。聖女ならこれまでにも、色々な者と出逢ってきていた筈。言葉を知らないと相手との会話がし難いだろうに」
「ふ、ふんっ。て、敵からの説教なんか聞きたくねーぜっ」
……悔しいからそー言い返しておくけど、確かにそれはそーだとは思うわ。
しゃーねーなー。これからはその辺の勉強もしとくかぁ。
まあ相手がやたらと難しい言葉ばっかり使いたがるよーなヤツの場合は、あーしは最初から何も喋らねーけどっ。
その点で言うとデゼルは偉いんだぞ。元々色んな言葉を知ってるだろーに、あーしと話す時はこっちのレベルに合わせて言葉選んでくれるからな。
そんなデゼルとは、あーしもちゃんと話さなきゃなって本気で思うもん。
「あーしだって、女神から貰った魔力しか取り柄が無えみてーに思われるのは嫌だかんな」
「女神から、貰った?」
あーしの言葉に、エルギアドが眉間にシワを寄せた。
「あーしの魔力はそーなんだよ。文句あっか」
「……ふむ。まあいいさ」
なんだコイツ、思わせぶりなツラしやがってよー。
「そんなことよりも。テメーこの調子じゃ、闇魔法を出せないままあーしにやられちまうぜ?」
「ずいぶんと闇魔法に対してこだわりを見せるね。僕は状況に応じて使う魔法を選んでいるだけで、逆に僕には闇魔法しか無いという風に思われているのならそれは心外なのだけど」
ちっ、別にそーゆーワケじゃねーけどよぉ。
……ただ今回は、闇魔法がどんなもんなのかを見る必要はあるんだ。
闇魔法のことを知れば、今も苦しんでるここの人らの黒いモヤモヤを払う方法が見つかるかもしんねーかんな。
「……」
エルギアドのヤローは何か考え込むみてーにしてやがる。
「良いだろう。闇魔法を使ってやるさ」
「マジでっ!?」
どーゆー心境の変化!? いや、こっちとしてはありがてーけどさ。
「だが覚悟しろよ、キミを相手に魔力の加減はしないからな!」
「望むところだっ、来やがれーーー!」
エルギアドが身体から黒いオーラを出し始めた。
凄え、魔力自体が闇っぽい色になるっつーことなのか。
あのネチョネチョした感じもしてきやがった!
「闇魔法は心のネガティブな側面に通じている。そしてその闇魔法を御するには、コツが必要なんだ!」
「なるほど、知らんけどなっ!」
「いくぞ、餓溶黎黒!」
ヤツの杖から黒い魔力が凄え勢いであーしに襲い掛かってきたっ!
ネチョネチョした感じはそのままなのに! なんてゆーかこう、鋭い稲妻みてーな、そんなハジけた感じもしてるっ!
「守幕!」
これには気纏の光の粒よりも、更に防御力が高い魔力のバリヤーを張るぜ。
……くっ。
エルギアドの黒い魔力の稲妻が、あーしのバリヤーに覆い被さろうとしてる。
いや、これは。食らいつくって感じだ!
バリヤーが、溶かされてるっ!?
「そのような護りなど、闇の魔力の前では無力!」
エルギアドがここまでで一番声を張って叫んでくる。
ムカつくけど、アイツの言う通りだ。もう既にバリヤーの殆どが溶かされてる状態だもん!
「リノンちゃん!!」
心配したドナキロがあーしに駆け寄ってくるけど……。
「来んなっ! こんなの余裕でなんとかしてやるっ!!」
そー叫んで、ドナキロを止める。
「しかしこのままでは負けてしまうんじゃい!」
闇の魔力が、守幕の内側にあった気纏の光の粒すら溶かして、あーしの両腕まで食いついてきてる。
……ちっ! 魔力から普通とは違う波動も出てやがる!
その波動があーしの腕に流れ込んで、こっちの魔力の集中を乱してく!
凄え力だけど、それだけじゃねえ。
その力の上に更に、妬みとか恨みとかの嫌な感じの感情が乗っかってる……。
それが物凄え重い波動を放って、こっちの耐えようとする心を無理矢理押さえ込めよーとしてくるんだ!
そーか、床で倒れてる人らもこーゆー状態にされてるんだな。
とりあえず、それは分かったわ……。
あーしは集中力の乱れに負けねーように踏ん張りながら、ドナキロに向けて言葉を掛ける。
「ドナキロ、あーしを信じてろよ。……お前にはファリシアの祝福を与えてやるって、あーしが約束してるんだ。だからそのあーしのことを信じろ、いーな!」
あーしの胸の辺りが闇に包まれる。
「リノンちゃんっ! わ、分かったんじゃいい!」
よっし、それでいい。とにかく全力であーしを信じてろ、理屈なんかは要らねーから。
仲間が信じてくれるってだけで、あーしは、何よりもあーしらしさに自信を持てるっ!
――(4)につづく!――
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