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#14 これが聖女のマジバトル!(1)

聖女としてのバトル、これからリノンが見せます!

 あーしは戦闘(バトル)で速攻超威力の攻撃魔法を使うなんてことはしねーぜ。


 だってそーゆー力任せなのは聖女らしくないだろ?


 だからまず最初に防護(ぼうご)魔法を掛ける。


気纏(デコレート)!」


 煌綺妙杖(ベルサレェト)をぶわっと振る。先っぽからキラキラした光の粒が舞って、あーしの周りを取り巻いていく。


 エルギアドが攻撃魔法を使ってきた。


爆烈火炎(バースト・ファイア)!」


 ヤツの杖からボッと炎が出てあーしを襲う!


 火炎放射って言った方がいい連続の炎――けどその炎は、さっき舞わせた光の粒がハジける音を鳴らせながら防いでくれたぜ。


 このキラキラした砂のよーな光の粒は、あーしを(まも)る力だ。


 前に使った防御魔法の守幕(カーテン)……あれは相手の物理攻撃さえ防いじまう位に効果が高い。


 けどその防御幕を出し続けるには、それ用にあーしがずっと意識を集中してなきゃいけないんだ。


 当然出してる間は他の行動はまったく取れねえ。


 けどこの気纏(デコレート)の方はちょっと違う。


 物理攻撃は防げねー代わりに、魔法や火の吐息(ブレス)なんかは、あーしが別の行動をしててもコイツが勝手に防いでくれるのさ。


 炎の光の粒がぶつかって、バチバチと(ハジ)け続けてる。


 あーしのロングヘアと白の外套(オーバーコート)が、その音に合わせて舞ってた。


「くっ、僕の魔法を(はじ)くとは……」


 悔しそーにしてるエルギアドに、あーしは軽く挑発を入れてやる。


「今日はお前にとって、()()()()()魔力が高まってる日だって聞いてたんだけどな? それでもこんなもんなのかよ?」


 あーしの挑発にエルギアドは露骨にムカつきだした。


「くっ、バカにしたな! 体内の魔力を練り上げる為の長時間に及ぶ瞑想(めいそう)、精神力を養う為の食事メニュー、そして高まるそれらを自然消費させないように時々休息日を(もう)けるなどなど……それらの努力によって僕は己の力のピークをローテーションで回しているというのにっ!」


 い、意外と地味な努力だったんだな……。


 なんかよく分からんけど、筋トレの魔道士バージョンみてーなトコか?


「その食事メニューって、高タンパク質の鶏肉(とりにく)料理とか?」


「うるさい、そんなことをキミに教える筋合いは無いっ!」


「んだよ、さっきまでめっちゃ喋ってたじゃねーかよっ」


 イラつくあーしに、後ろから姫様が教えてきてくれた。


「聖女様、レンコンやゴボウなどの根菜(こんさい)類が主でしたわよ」


 へー、そーなんだ。……じゃあ多分きんぴらとかだな。


「レティシア。そうか、キミが彼女に僕の魔力のことを教えたんだね」


「その通りですわエルギアド。今更言っても仕方ありませんが……私は貴方が居ない間少しでも貴方の思いを深く知ろうと、魔法の書を読んだりしていましたのよ」


 そういう風に話す姫さまは、でももう寂しげだとかって顔はしてないぜ。


 ……知ろうとした結果、しっかりと知った上で二人並んで立つことは無理と分かったんだからな。


「レティシア……。それでも僕は僕の思いで走り続けるよ、この国に新たな風を吹かせる為に」


 エルギアドのヤローも、ちょっとずつ手前(テメー)の覚悟を決め始めてるみてーだ。


 最初に姫さまに拒絶された時とは、目の光が違ってやがる。


 ……あーしは、そーゆーの自体は悪くねーと思うぜ。振られた後の意地の見せ方で、ソイツの格は寧ろ上がったりもするもんだ。


「へっ、お前の意地はあーしがこの戦闘(バトル)で見極めてやんよ。その為にあーしも、聖女としての本気(マジ)モードで戦ってやる。だから全力で掛かってきな」


 それはそーと、一個気になることがある。


 あーしは目線はエルギアドから逸らさないまま、サーニス公に向けて声を飛ばした。


「サーニス公、コイツが言ってた封印を解く鍵のある場所ってこの謁見の間なんすかーっ?」


 その質問にサーニス公も飛ぶよーな声で返してくれた。


「いえ、城の奥の宝物庫ですっ。そしてそれはこのエルギアドも知っておるのですーっ!」


「えっ、じゃあなんでコイツこの場所に来たんすかーっ?」


「恐らくこの男めは、自身を(おとり)にしておるのでしょうっ」


(おとり)ぃ!?」


 じゃああのコウモリ達以外に、もっとちゃんとした仲間が来てるってことかよ!


「ですが私にはそれが分かっていても、ここで倒れている者達を放ってそちらに向かう訳にいかなかったのですーっ!」


 ちっ、そーゆーことか……。ここの人らはある意味人質にされてたんだな。


 ――エルギアドが無言で笑ってやがる。


 コイツ、もう封印の鍵は手に入ったも同然だと思ってんのか。そんなに強い仲間なのかよ……。


 けどここで姫さまがサーニス公に向けて、ハリのある声でこう言った。


「お父様、今は聖女様と私がここに()りますわ! ですからお父様は宝物庫にお向かいくださいませっ!」


「し、しかしレティシアよ」


 姫さまの言葉に対して、サーニス公の方はイマイチ乗り気になれない。


 きっと危険だとか、あとエルギアドとのことを気遣ってるんだろうけど……。


 でも姫様はそれにも増して、いかにも姫様らしい強気な感じでこー答えたんだ。


「ご心配は無用ですわ。私は戦士でも在られる貴方の娘……戦いを通じて己の意思を貫く(すべ)は存じております!」


「レティシア……!」


「それに聖女様も居てくださってます。……私には分かりますの、この人は周囲の人々の心を繋げてくださるお方なのだと。ですから私とお父様の心も今は一つで御座いますわ!!」


 ――っ!


 ひ、姫さまっ! あーしのことを、そんな風に言ってくれるなんて!!


 サーニス公もこの言葉にはめっちゃくちゃ感動してるっ!


「……うぅ、ぐすんっ……。わ、分かったぞレティシアよっ、この場はお前に任せるっ!!」


 サーニス公はそう叫んで、勢いよく謁見の間から駆け出してった。


 ……力強かったぜ。ああ、アンタの声は力強かったさ!


 ――(2)につづく!――

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