#13 アブナイ女とアブナイ男!(1)
波乱の展開!
けどリノンよ、パッション高くいけ!
通路を走っている途中、何度も城の人達と、更にそれを襲うたくさんのコウモリを見かけた。
きっとあの城に空いた穴から入ってきやがったんだろーな。
このコウモリのことについてドナキロが教えてきてくれる。
「コイツらは威嚇を得意としてるんじゃい。大きな傷を負わせてきたりはせんが、軽く引っ掻いてきたりとにかく派手に纏わりついてきて、相手の行動を邪魔しよるんじゃい」
「んだよめっちゃウザイじゃん! てかコイツら、この城に乗り込んできたヤツ――多分エルギアドが連れてきたんだよな?」
「そうに違いないんじゃい。このコウモリは魔物や闇の魔道士達の間では小さな兵隊さんとして人気も高い。そのエルなんとかが魔王軍残党と関わろうとしてるんなら十分にあり得るんじゃい」
小さな兵隊さんって、そう聞くとなんかちょっと可愛いな……。
――って言ってる場合でもねーか。エルギアドと魔王軍残党がマジでつるんじまった可能性があるってことだもんな。
そう考えながら走り続けてる内に姫さまに追い付く。
「姫さまっ」
姫さまの目の前には兵士含む城の人達とコウモリ達が固まってて、道が塞がれちまってたんだ。
「聖女様は下がっていてくださいませ」
姫さまはあーしにそう言うと、前の方を向いてめっちゃ凄え迫力で叫び出す!
「道を開けなさい! このレティシアが通るのです!!」
うおっ、空気が震えるくらいに声が張ってる! 後ろに居てもその凄まじさが伝わるぜっ!
「はうわっ! レ、レティシア様っ!?」
「きゃあっ! も、申し訳ございませんんっ!!」
「キィッ!? キィキィィッ!?」
城の人らはともかく、コウモリ達まで目ぇ丸くして一斉に離れだしたぞ……。
なんつー感情表現豊かなコウモリだよ、そりゃあ他の魔物達からも人気出るわ。いや、実際にそれで人気なのかは知らんけど。
とにかくこれで先に進めるぜ――って、姫さまもう走りだしてんじゃん!
「ちょ、少しは加減して走ってくれよー」
「――エルギアドっ、もうすぐ私が行きますわよっ!」
くっそ、姫さまのヤツあーしの言葉はまるっきり聞いてねー。
けどあーしだって足の速さなら負けねーぞ。ここまで近付けたならもうぜってー食らいついてやるかんな!
姫さまは次にすれ違った兵士から情報を聞き出した。
「貴方、この異常事態を引き起こした者が何処に向かったか知ってる?」
「は。外から来たであろうフードを被った黒衣の魔道士が謁見の間へ迫っていると、他の兵士から聞いております。私めは見回り兵として通路の方を守るべく――」
「貸しなさいっ!」
姫さまはまだ兵士が話してる途中だってのにいきなりそー叫んで、相手が腰に下げてた剣を引っこ抜いちまった。
「ひ、姫さまぁ!?」
姫さまの勢いに押されて半泣きになってる兵士。けど当の姫さまはそれをガン無視してまた走り出してる。
かわいそーだけど、あーしも今はコイツにかまってやれる余裕はねー。
「さーせん横通りますっ。あ、大声で叫んだらコウモリのヤツビビるかもっすよ!」
「お、大声ぇっ!?」
兵士は『そんなアホな!』みたいな驚き顔をしてたけど、あーしは足を止めずに前へとひた走った。
「リノンちゃん、正直レティシア姫みたいな大声で叫べるヤツはそうそう居ないと思うんじゃい」
「ああ。あーしもぶっちゃけそー思ってる」
いやでもさ、何も言わずにそのままあの兵士を無視すんのは、いくらなんでもあんまりじゃんか。
「それにしてもあの姫さま、最初に会った時とはまるで印象が違ってるんじゃい」
ドナキロが改めて姫さまの変貌っぷりに戸惑ってる。
……そーだな。ただのおしとやかな姫とは違うとは思ってたが、ここまでバクレツな一面を持ってるとはあーしも流石に思ってなかったわ。
こりゃサーニス公が手を焼くワケだぜ。
ーー(2)につづく!ーー
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