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#11 攻略準備の前情報!(2)

デキるギャル聖女リノン、集められる情報は集める。

『エルギアド。……ふーん』


『その者は若くして魔法の道に精通し、そして遂には闇の魔法についても学び始めましてな』


『ちょっと待って。ソイツってもしかして悪者なんすか?』


『おお、リノン様は物事の裏を察知する力にも優れておいでですな!』


『やっぱり! 前にうちの司祭が、闇の魔法は人の心のマイナス面と関わり深いって言ってたんすよ!』


『まさしく。されど、ヤツめの印象をはっきりと決めてしまわれるのはどうかお待ちくださいませ。このエルギアド、闇魔法を学んだからといって完全に悪という訳では無いのです』


『そ、そーなんすか? それって例えば、魔物だからって全員が悪じゃねーのと同じ感じとか?』


『はうあっ! リ、リノン様は洞察力も秀でて在らせられるっ!』


『ああ、はい。……そんな派手に驚いちまって。あーしってそんなに()げーのかな?』


『大変な才覚で在られると思いますぞ。――エルギアドですが、元来は思慮深く大局を視ることが出来る男でした。許されざる行いというものは存在しますが、ヤツはヤツなりの正義によって闇に手を染めたのです』


『な、成程……。でも例え正義が()ろーがやってダメなことをやるヤツは、あーしはぶっ飛ばしますけどね』


『無論、そう言っていただけることは頼もしい限りです。……ヤツめは、確かに己の身の丈を超える思想を抱いてしまいました。蔑ろにされた種族に手を差し伸べるという名目で、私に魔王軍残党と、同盟を結ぶよう進言してきたのです』


『同盟ぃ? ……魔王軍残党ってまだどんなヤツが動かしててどんなことを企んでるのか、ろくに知れてねーんでしょ!?』


『その通りです。そんな状態での同盟など、余りにも唐突(とうとつ)で危険過ぎる。私は却下しました。だがヤツは自分が道を切り拓いて両方に和をもたらしますと、そう言って聞かなかった』


『えー……。なんかもー嫌な予感しかしねーんすけど』


『まったくもって恥ずかしい限りです。私はヤツがおかしな行動に出たりしないよう、先手を打ってヤツを幽閉しようとしました。しかし……それをあろうことかレティシアが身を(てい)して阻んだのです』


『姫さまがっ?』


『あの子は日の目を見れない異種族を助けたいというその一心で、エルギアドの思想に共感してしまった。――エルギアドともっと話をしてあげて、と。本当にとっさの行動でヤツの盾となったのです』


『あーもー、そーゆー展開かよーっ! でもそれって、完全に理想を追い求めて破滅するパターンじゃんかーっ!!』


『申し訳ございません、申し訳ございません……。ヤツは、その時のほんの一瞬を突き、魔法で城外へ逃げてしまいました。現在は行方不明です』


『ったく。まーぶっちゃけ、あーしにはソイツが逃げるだろーことも分かるわ……。それで、その後姫さまはどーしたんすか?』


『それからは塞ぎ込んでしまいました。私がその件で七日間の謹慎(きんしん)を命じたことも、一因かと思います。謹慎が解けた後も武芸の鍛錬の時以外は、基本的に部屋に閉じこもりきりで……』


「……はぁ……いやサーニス公は悪くねーと思いますよ。……うん、大体の流れは分かったっす』


『お恥ずかしい話で、本当に申し訳ありません』


『一個重要なことを聞かせてほしいっす』


『なんでしょうか?』


『姫さまはそのエルギアドに惚れてんすか?』


『――っ!! ゲ、ゲフンゲフン、一体全体、突然なな、何を仰られるのです!?』


『姫さまはそのエルギアドに惚れてんすか?』


『はぐわあっ!! リノン様、何やらさっきまでとご様子がっ。圧力(プレッシャー)を放たれておいでですぞっ!? ご、後生(ごしょう)でございます! それだけは、それだけはお聞きにならないでくださいませえっ!!』


『……』


『うおわあっ!! ひ、人差し指を()()とお立てになられてっ! その仕草は、その仕草はまさか、チャンスはあと一度きりだぞ、というサインでございますでしょうかああぁっ!! ――ダンタリアス、ダンタリアス助け、ああっ、リノン様のオーラに当てられて口から泡を吹いてしまっているぅぅっ!?』


『ホントに重要なことなんすよ』


『ひいぃっ!! やめてください、歩いて来ないでくださいっ、あああああ近いとても近いいいいぃ!!』


『姫さまはエルギアドに惚れてんすか?』


『あーーーーっ、そ、そうでございますーー!! エルギアドを庇ったことを問い詰めた時に自分でそうカミングアウトしていましたぁっ! その後で私に、文句がお有りですの? と(すご)んできていましたーーーっ!!』


『……そっすか。()っかりましたん』


『ま、ましたん……!? い、いやともあれリノン様が平常に戻られて良かったです、はい……』


『姫さまの方には後であーしから話しに行きますんで』


『ぶふぉっ!? レ、レティシアと直接会われるというのですかっ!?』


『ええ。だってこの問題、あーしでもなけりゃ話を先に進めらんないでしょーからね』


『リ、リノン様ぁ……!!』


 ※


 まあこんな感じでサーニス公との話は終わったワケ。


 言っとくけど今回の回想は全然話盛ってなーかんな。なんか最後の方サーニス公がめっちゃ怯えてたけど、それもホントだ。


 そん時あーしがどんな顔してたかとかは、向こうが抱いた印象の問題だからぶっちゃけ知らねー。


 ――とにかく、だ。


 恋心が絡んでるってんなら、この問題は常識じゃ考えねー方がいい。


 さーて、レティシア姫さまの心の攻略の仕方は……。


 ――#11 おわり!――

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