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#11 攻略準備の前情報!(1)

人の関係の連鎖!?


しかも城内のそれだというなら、絡みつき具合もみっちり気味!?

 あーしの正面に居るレティシア姫はめっちゃ落ち着き払ってる。


 品のある態度。それでいて簡単には相手のことを信用しなさそーな、そんな用心深さも漂わせてるぜ。


 ――まったく。こんな手強いヤツが手前(テメー)の心の熱には負けちまうってんだから、人の心はやっぱ複雑っつーかさ。


 あーしが謁見の間で聞いたサーニス公の話は、こーだ。


 ※


『かつてこのゼルトユニアでは、当代の魔王が世界を支配しようと軍を率いていました』


『うお。なんかいきなりめっちゃスケールデケェ話になったじゃねーすか』


『驚かせてしまい、すいません。しかし本題に入る前にこの話はどうしても必要でしてな。……若き頃の私は魔王軍と戦う一介の戦士で、そこでの功績を(たた)えられ王国から爵位(しゃくい)(たま)わり、そしてその領地の一部を小さな国として与えられたのでございます』


『それってこのサーニス公国すよね。えーと、公国ってのはもっと広い範囲の土地を治めてる帝国とか王国とかの一部分で……帝王とか国王に仕えてる貴族の中でも特に認められた人が、その分け与えられた土地を守る公王の役目を背負うんでしたっけ?』


『その通りです。リノン様はこの世界に来訪されてまだひと月と聞きましたが、よく学ばれておられますな』


『えっ。そんなことないすよ。ただこの城に来させてもらう日が近くなった時になんも知らねーままなのはヤベーってんで、短期漬けで要点だけを調べただけっす。あはは……』


『ご謙遜なされるとはなんと奥ゆかしいお方か! そのお心に私は、私は感動して泣いてしまいそうですぞっ!』


『いや、それはもーいいっすから』


『おうふっ! お年頃の女性チックな鋭いツッコミもきちんとお持ちで在られる。流石、流石ですぞおっ!』


『……ちっ』


『こ、こほん……。さて、公王となった私はこの国を盛り立てていこうと(つと)めました。私に付いてきてくれた民達、それに元々私達に友好的であった亜人族の暮らしはなんとか守ってこられたと自負しております。……しかしその為に魔王軍に与していた種族やそうでなくても人間族に対し距離を取っていた種族のことは、(ないがし)ろにする結果となっていました』


『でもサーニス公はドナキロがこの城に入ることを許してくれたじゃないすか』


『はい。しかし国全体で見れば、やはり溝というものが存在しております』


『そっか……。まあきっと難しーもんなんだろーな』


『さて、ここから我が娘レティシアのことになります……。あの子は幼い頃から真っ直ぐな気質であり、いずれは私と共に国を守れる程に育ってくれると期待しておりました。そして十五の誕生日を迎えた時に、今の話を聞かせたのです。この国の歴史と現状を知ってもらう為に』


『どんな反応だったんです?』


『聞いてすぐは、ショックを受けていました。それまでそういった問題を知らずに過ごしていた自分を恥じる素振りも見せましてな。今まで言わずにいたことについて、何故もっと早く教えてくれなかったのかと責められもしました』


『そ、そりゃいくらなんでも、ちょっと姫さまが行き過ぎてる気がしますけどね……。もっとガキ――さーせん。子供ん時にそんな難しーこと言われたって、ぜってー混乱してただけだったと思うな、あーしは』


『そうですな。しかしあの子の今の感性から出た言い分もまた正当性を持つものです。親としてそれを軽んじることはできません。……それに私としては、あの子がそういった難解な問題に対し真剣に心を向けてくれたことを、嬉しくも思ったのです。それ以後私への言葉数(ことばかず)は少なくなってしまいましたが、私にとってはあの子は誇れる娘なのです』


『……うーん。良い話っぽいかなとは、思うっすけど』


『ありがとうございます。いや、他所(よそ)の家の親子事情など、確かに聞いていて面白い話でないのは承知しております』


『あーいやいや、そーゆー意味じゃなくって! ただなんつーか、色々危ういって気がしちまって……。姫さまがなんか思い詰めてんじゃねーかって』


『……リノン様は心優しきお方で在られますな』


『へ、なんでっすか?』


『貴女にとっては聞いてもひとつも良いことの無いこの話に、まことに心を動かしてくださるのですから』


『別にそんな大したことじゃ……えっ! 横に居るダンタリアスおっさんが、ちょっと泣いてる!?』


堅物(かたぶつ)のダンタリアスでさえも、リノン様のお優しき威光に平伏しておるのです』


『あっ、はい。……そっすかね。あーしには自覚なくて、なんかさーせん』


『……貴女様であれば、やはりお話しすべきでしょう。先程仰ったあの子レティシアの危うさ、決して杞憂(きゆう)では無いのです』


『それって、どーゆー?』


『それはある一人の男と関係があります。以前この城に仕えていた優秀な魔導士で名をエルギアドといい、その向上心と前向きさにはレティシアも、心を許しておりました』


 ――(2)につづく!――

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