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#9 フェイロード城に行く!(2)

リノン、その持ち前のコミュ力で門番さんとも仲良くなる!笑


 ※


 ここが謁見の間か。


 めっちゃ広くて、真ん中に赤くて()がーい絨毯(じゅうたん)が敷いてある。


「ようこそ聖女様、お逢い出来て光栄に存じますぞ!」


 絨毯の奥にある玉座に座ってた口髭ふっさふさの良い服着たおっさんが、あーしを見るなりわざわざ立ち上がってアイサツしてきてくれた。


 絶対この人がサーニス公じゃん。


 四十代手前って位のおっさんなのに、身だしなみがめちゃくちゃ整ってるもん!


 その整いっぷりにあーしは結構マジに感心して、素直な気持ちでぺこりしながら絨毯の上を歩いてった。


 当然その後ろをドナキロが付いてきてるぞ。


 この雰囲気有る謁見の間だからこそ、逆に周りの連中は私語は慎しむって感じでドナキロのことにツッコんでこねー。


 何よりもサーニス公が、あーしだけじゃなくドナキロのことも温かい目で迎え入れてくれてるしな。


「私がバーンナウト・サーニスです、どうぞお見知り置き下さいませ」


 サーニス公はそう言って、まっすぐ伸ばした右腕を胸の前で九十度に曲げるポーズを取った。


 握った拳がちょうど心臓の位置に来てる。


 よく分かんね―けど、めっちゃかっけーポーズだぜ。


 凛々しい顔つきも合わさってマジにイカしてるわ。


 威厳ってヤツが滲み出てる感じ。いや威厳がどーゆーのかは知らんけど。


「ラクアミ・リノンです、招待ありがとーございますっ」


 思わず振りかぶるよーなぺこりを()()()()()()、良い声で返事しちまう。


 ニホンの同級生が見たら、きっと『リノンだっせえ!』ってウケてたか?


 いや、サーニス公の今の深いコクのある微笑み顔を見たら、アイツらだってぜってーピシッと背すじ伸ばしてたに違いねー。


 それ位このちょっとした仕草のひとつひとつが、他のヤツとは比べもんになんねー強い印象をあーしに与えてくるんだ。


 一般人とは違う、これが王様ってもんなんだな。


「うむ。リノン様は正にファリシアの象徴そのものであるような、強い輝きを放っておられる」


「い、いやいや、サーニス公こそ立派な口髭がキラッと光ってますよっ」


「はっはっは。ユーモアセンスも豊かですな」


 おおっ! つい焦ってふざけたこと言っちまったけど、どーやら良い風に受け取ってくれたみてーだぞ!


 ……ラッキー! 流石王様だ、器がでけーよっ!


「こらリノンちゃん、王様に失礼なこと言ってはいかんのじゃい」


「うぐっ……」


 ちぇっ、まさかドナキロから叱られちまうとは。


 でも確かにこりゃ、チョーシに乗るのだけはやめといた方が良さそーだ。


「分かってんよー、もう。さーせん、サーニス公」


 ちゃんとぺこりすっぞ。


「ははは。いえ本当に構いませんよ、笑いのある会話というのは良いものです。それにリノン様のようにお若い方からのギャグは、元気さに溢れていてまこと心地良い……」


 いや、ギャグっつーか口髭に関しちゃあーし割とマジに言ったんだけどな。


 髭がシャレてるのって、男として結構ポイント()けーんだよ? そこはマジに褒めてんだって。


「まこと、心地良いのだ……」


 ――ん? なんだろ、サーニス公の顔がちょっと曇って元気も無くなってるよーな……。


 やべえ、やっぱホントは怒ってんのかな……?


 そー思ってるとサーニス公の傍に立ってたおっさんが、いきなりトゲのある口調で話し掛けてきた。


「ふん。しかし聖女様はお若いが故に()()()()作法に疎いご様子。いかに我らがサーニス公がお優しい方とはいえ、あまり長い時間のお話はお疲れになられてしまうというものだ」


 ……あーん?


 なんだこのおっさん、ちょっと感じ()りーぞ。


 白髪で生え際ちょっと後退気味なあたり、サーニス公よりも更にひと回りは年上っぽいけど。


 なんかニホンの学校のヤな先生臭、アレに似た感じがするわ。


「これダンタリアスよ、リノン様に対してそんな壁を作るような言い方をするでない」


 サーニス公が困ったよーな感じで白髪のおっさん――ダンダリアスってヤツに注意した。


「私は貴方様の補佐官として、その御身(おんみ)を第一に考えて発言したまでで御座います」


 ダンタリアスの方も全然引かねー。


 眉間にシワ寄せていかにも気難しそーな顔して反論してやがる。


「うぬぅ。相変わらず固く、そして熱苦しいヤツよのう」


 おーおー。お前が引かねーもんだから、サーニス公も遂にぷるぷる肩を震わせ始めたぞー。


 相手は王様だぜ? 本当に怒っちまう前に謝っといた方が良いんじゃねーのかダンタリアスさんよー?


「ダンタリアス! これでもし我が娘レティシアに続いてリノン様まで私に冷たく接するようになったとあれば……私はもう本当に、本当に泣いてしまうからなっ! それでも、それでも良いというのだなっ!!」


 ――ぶふぉっ!?


 ちょ、ちょっと待って! いきなり王様が『泣く』とか反則だって!


 ウケるわそんなん! アンタの方がめっちゃユーモアセンスあるやないかーいっ!


 仮にも王様が、取り乱したよーに『我が娘レティシアになんたらー』とか言い出したりとかしたら――。


 ……ん?


 王様の娘ってことは、姫様っつーことか?


「うむぉっ、サーニス公ぉっ!? レティシア様のことはあくまで内密にするようにと、事前に話しておったでしょうがあっ!」


 おいおい、なんかダンタリアスおっさんまでテンパりだしちまったぞ。


「だ、だがなダンタリアスぅっ!」


「いえダメですぞサーニス公ぅっ!」


 大のおっさん二人が揃って鼻息()れーっ!


 んーだよ、仮にも一国の王様とその補佐官がこんなに慌てるってよー……。


 そもそもいったいどんなヤツなんだよ、そのレティシア姫ってのはさ。


 ――#9 おわり!――

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