#9 フェイロード城に行く!(1)
今回から物語は新たな舞台へと移行します!
聖女リノンの本格始動!
今、あーしの目の前には城の門が有る。
「リノンちゃん、フェイロード城に着いたんじゃい」
一緒に来てたドナキロが、緊張した顔でそう言ってきた。
「そんな固くなんなよ、今回あーしらはお呼ばれされた客なんだぜ」
そう。実は一ヶ月前フェイルンレイズの街に建つこの城から、ファリシア寺院に聖女招待の使いが来てたんだ。
城の主の名前はサーニス公、ここらの地域を治めてる王様だぞ。
フェイロード城とファリシア寺院は友好関係ってヤツらしくてさ。
聖女であるあーしがこの世界に転移したことを知って、コンタクトを取ってきたっつーワケ。
けどそん時まだあーしは聖女服をナナカに依頼しようとしてて、城に行こうなんて気にはなれなくてな。
で、デゼルが気を利かして『聖女様にはまだこの世界に慣れていただく時間が一ヶ月は必要です』ってもっともらしい理由付けて、日にちを今日まで延ばしてくれたんだ。
前にアイツはあーしに『ファリシア寺院のアイドルになっていただきたい』って言ったけど、アイツはアイツであーしの思いを汲んでくれる名マネージャーだよなってマジで思うわ。
二人の門番がめっちゃ緊張した感じであーしにぺこりしてくる。
「せ、聖女様で在られますね! お待ちしておりましたあっ!」
うおっ。こっちはまだあいさつもしてねーのに、めっちゃ礼儀正しくしてくるじゃん!
でもまーこれは完全に、ナナカが作ってくれたこの聖女服のお陰だよな。
……多少無茶言ってでも、昨日までに仕上がるよう期限を付けさせてもらって良かったぜ。
完成品持って来てくれたのは本当に昨日でマジでギリギリだったけど、ナナカには感謝しかねーよ。
「どーも、リノンっていいます。よろです」
「はいっ! 少々お待ちください、リノン様のご到着をサーニス公に伝えて参りますのでっ!」
そう言って門番の一人が城の中に入ってく。
もう一人はというと。
「なんじゃい、ワシの顔になんか付いとるんかい」
「い、いえ、その……」
……ドナキロの顔を見ながら、なんか言いたそうにしていやがった。
「ワシが魔物だから気になるんかい」
「え、えと……」
……ちっ、良くねー空気だな。
まー流石に、城に行くのにドナキロを連れりゃあこーなる事は予想出来てた。
でもな、今回は絶対ドナキロも連れて城に入らせてもらうぜ。
コイツにボディガードとしての仕事させてやんなきゃ、修道士達のコイツを見る目をいつまで経っても変えらんねーかんな。
「ソイツはあーしのお供なんす。カッケーでしょ?」
「か、かっけー……?」
んーだよ、格好良いことを『カッケー』って言うだろ。知らねーのかコイツは。
「こーゆーことっすよ」
そう言ってあーしは自分の腕をドナキロの腕に組ませて、門番に向けてウインクしてやった。
「リ、リノンちゃんんんっ!?」
「お、おおお……」
良いオンナってのはな、格好良い男をナチュラルに連れてるもんなんだよ。
だから御託は要らねー。
あーしが心許してる感を示してやりゃあ――
「し、失礼しました。聖女様の従者様に疑いの目を向けてしまうとは……!」
――下手に口数多く話すよりも充分気持ちの証明になるのさ、へへっ。
「リノンちゃん、も、もう腕を離してほしいんじゃいいい」
ふっ、ドナキロのヤツしかめっ面だったクセに今は顔真っ赤にしてやがる。
「も、門番さん。アンタからも言ってやってほしいんじゃいいい」
「いえいえ滅相も無いっ。貴方のような逞しいオーク族の方だからこそ、そのような羨まし……ゲフンゲフン! 聖女様からの信頼を受けていらっしゃるのだと思いますよっ!」
よし、良い感じの空気になったな。カンペキだぜ。
それからあーしとドナキロは門番と一緒に、他愛の無い会話をして時間を潰した。
でもって奥に行ってた門番が戻ってきて、いよいよあーし達は城の中の、サーニス公が居る謁見の間ってトコに案内されることになったんだ。
――(2)につづく!――
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