↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

8/11

創世神のクソプロット、赤字のバッテンで没にして差し上げますわ

「――ふう。

今日のダージリンも、実にいい香りがいたしますわね」


 メロリアスは、世界各地の理不尽なフラグを片っ端から赤字で叩き直した。


 優雅に旅を続ける道中の草原で、いつもの特製ティーテーブルの椅子に腰掛けていた。


 従者のレオンが手際よく魔法水筒からお代わりを注いでいる。


「はい。

標高の異なるエリアを回っておりますが、お湯の温度管理は完璧でございます」


 二人が束の間のティータイムを愉しんでいた刹那(せつな)――。


 ゴゴゴゴゴ……ッと、世界を覆う青空がガラスのようにメリメリとひび割れた。


「なっ……!?」



 空間を引き裂き、天空の彼方から現れたのは、ありえないほど巨大で荘厳な「光の眼」。


 全宇宙の秩序を司り、すべての人間を「文字の駒」として管理する最高存在――『創世神(世界の執筆者)』の降臨である。



『――よくも、我が書き下ろした神聖なる世界台本を勝手に改変してくれたな、校閲聖女風情が』



 頭に直接響き渡る、絶対的な神の声。


 天空から降り注ぐプレッシャーだけで、周囲の草木が凍りつき、大地が悲鳴を上げる。



『人間どもは、私が描く壮大な悲劇のドラマに酔いしれ、絶望の中で散っていくからこそ美しい。

それを貴様はすべて台無しにしてくれた!

世界の書き換えを強制ロックし、元のバッドエンドへと初期化する!』



 創世神が怒りのままに眼光を鋭く光らせると、世界を縛る巨大な文字の鎖が宙に現れ、人々の自由を奪おうと動き出した。


 圧倒的な神の暴力。


 だが、当のメロリアスは、手元の原本から視線を外さず、カップをソーサーにそっと置くと、ふんっと冷ややかな鼻息を漏らしただけだった。


「……たかが数万文字のプロットで、よくもここまで尊大な口を叩けたものですわ」


「メロリアス様、お仕事の時間ですね」


 レオンが涼しい顔で、スッと万年筆を差し出す。


 メロリアスは万年筆を指先で一回転させ、不敵な笑みを浮かべた。


「ええ。あまりにお粗末な構成、杜撰(ずさん)な伏線回収、そして何より読者の気持ちを全く考えていない自己満足の胸三寸……。

誤字脱字だらけの神話なんて、小説投稿サイトに投稿したら、レビューが大炎上して連載打ち切りになりますわよ!」


『なっ……戯言を……!』


「お黙りなさい、三流の執筆者さん。

あなたが空中に浮かべている神の原稿用紙、今すぐ全部『没(ボツ)』にして差し上げますわ!」


 メロリアスが立ち上がり、天に浮かぶ神原稿に向かって、愛用の万年筆を思いきり振り抜いた。


 瞬間――!


 万年筆の先端から放たれた鮮烈な赤インクの奔流(ほんりゅう)が、神の威光(いこう)を真正面から切り裂き、神原稿の全ページに巨大な「赤のバッテン」を叩き込んだ。


「ば、馬鹿な……!?

私の執筆権が、赤字で弾かれていく……っ!?」

 第8話をお読みいただき、ありがとうございます!


 ついにすべての黒幕である「創世神」が降臨しましたが、校閲聖女メロリアス様の前では、神の威光も「炎上必至の三流原稿」扱いで赤字の餌食となってしまいました!


 どんなに格上の相手だろうと、ブレずに優雅にティータイムを挟みつつ、ボツを叩きつけるメロリアス様とレオン君のコンビ!


「続きが気になる!」「神様の原稿を真っ赤に染めろ!」と思っていただけましたら、ぜひ【ブックマーク】や【評価(☆☆☆☆☆)】で応援していただけると、万年筆のインクが無限に湧き出ます! 次回もお楽しみに!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。