神様の強制ボツ、美味しくいただいた紅茶とともにご堪能くださいませ
「ええ、本当にそうですわね。
あなた自身を『一網打尽のモブ』に格下げし、『強制ボツ』の最終判子を押して差し上げますわ!」
メロリアスが宣言した瞬間、天空に浮かぶ『創世神』の眼が、恐怖に大きく見開かれた。
『なっ……!?
私の存在権そのものを、赤字の判子で書き換えるというのか……っ!?』
「おそ松――じゃなくて、あまりにお粗末な神話の幕引きですわね。
せっかくのティータイムを台無しにされたお詫びです、綺麗にト書きを削ぎ落として差し上げますのよ」
メロリアスが愛用の万年筆を大きく一振りすると、世界を縛り付けていた「神の絶対プロット」全体が、まばゆい赤インクの光に包まれた。
「レオン」
「はい、メロリアス様」
従者のレオンが、最後の一滴まで完璧な温度に保たれたダージリンをティーカップに注ぐ。
メロリアスはカップを優雅に持ち上げ、一口、香り高き紅茶を口に含んだ。
そして――。
「――『これにて完結』」
メロリアスが空中に向かって、真っ赤なインクで力強く「完結」の二文字を叩き込む。
瞬間、轟音とともに『創世神』の巨大な光の眼が砕け散り、世界を縛る巨大な文字の鎖が光の粒子となって霧散していった。
『あ、ありえない……私の描いた完璧な神話が、校閲聖女ごときに……ガハッ……!』
絶叫を最後に、神の絶対領域は完全に消滅し、世界には抜けるような青空と、穏やかな風だけが戻ってきた。
草原には、いつもの特製ティーテーブルと、揺らめくティーカップの波紋だけが静かに残されている。
メロリアスは優雅にソーサーへカップを戻し、満足げな笑みを浮かべた。
「……ふう。
ようやく、読者の気持ちを一切考えない不快なノイズが消えてくれましたわね。
レオン、お代わりをいただけますか?」
「かしこまりました。
今、最高の淹れ加減でお持ちします」
理不尽な神のプロットを完全に赤字で叩き直し、世界の自由と優雅なティータイムを取り戻した校閲聖女。
――だが、世界という巨大な原稿には、まだ隠された「別のページ」がめくられるのを待っているようで……?
神をも黙らせるメロリアスの赤ペンは、次なる理不尽なプロットへと向かう――!
最後までお読みいただき、ありがとうございます!
神様のクソプロットに『強制ボツ』の赤字を叩き込み、無事に優雅なティータイムを取り戻したメロリアス様。
世界という巨大な原稿には、まだ別のページが……?




