89.門での戦闘
【今回のあらすじ】
山の館の門で、博貴と伯爵は、襲い掛かってくるヴァンパイアたちと戦う。
博貴と伯爵を乗せたバイクが山の館の門に到着すると、わらわらと集まってきたヴァンパイアたちが、何重にも囲み、行く手を遮った。
博貴は腰のベルトに挟んでいたマグナム銃を抜くと、片手で連射して、足にしがみつこうとしてきたヴァンパイアたちの頭を撃ち抜いた。
頭を撃ち抜かれても死ぬわけではない。倒れながらも手を伸ばし、足に掴みかかろうとする。
その手を蹴飛ばしてバイクから降りると、伯爵と背中合わせに立った。
伯爵は背負っていた武器を抜き、手早く組み立てると両手で構えた。
黒光りする、まるで死神の大鎌のような武器が旋回し、数人の首を切り落とす。赤い血の線を幾筋も引いて、生首が道路に転がった。
首を失った体は倒れるが、それでもなお、もがきながら博貴を捕まえようと手探りする。
それらの体を蹴飛ばして遠ざけながら、じりじりと門へ近づいてゆく。
伯爵が大鎌を振っている隙に、博貴はシリンダーをスライドして排莢すると、ポケットから弾丸を一握り取り出して素早く装填した。
装填するなり、片手撃ちで連続5発。きっちり5人を沈める。
再びリロード。
「手が痛い」
背後の伯爵に愚痴ると、脇腹に肘鉄を喰らわされた。
「文句は言わない。門まであと少し。頑張りなさい」
博貴は肩をすくめ、また5発で5人を仕留める。
リロード。
その隙をついて、腕に噛みつかれた。
「グッ……!」
グリップで脳天を殴りつけるが、離れない。
伯爵が背中を離れて回り込み、噛みついているヴァンパイアの首を切り落とした。
体と切り離されても、なお、牙を離そうとしない。首は博貴を見上げてニヤリと笑った。
装填し終えた博貴は、連続5発、その頭に撃ち込んだ。ぐちゃぐちゃになった頭を掴んで牙を引き抜く。
いきなり伯爵の大鎌が、博貴をめがけて横薙ぎに振るわれた。
博貴がしゃがむと、背後から襲い掛かってきた男の首が飛んだ。
「キリがない……」
肩で息をしながら博貴がぼやく。
「あと少し」
やはり肩で息をしながら伯爵が言う。
再び背中合わせになって、行く手を阻むやつらを倒してゆく。
そして、ようやく門を越え、敷地の中へ飛び込んだ。
ふたりして座り込み、門の外を見る。
結界に阻まれて入れない輩が、手を伸ばし、怨嗟の声を上げる。
博貴は、タバコを出すと咥えて火をつけた。
「わたしにも頂戴」
博貴は大きく一度煙を吸い込んだあと、持ち替えて伯爵の唇に挟んだ。
伯爵は、それを2本の指で挟んで吸うと、ふぅと煙を吐き出した。
紫煙がひんやりとした空気に拡散してゆく。
いつの間にか雨は止んでいた。
【登場人物】
神護博貴:勇真と真澄の叔父。忌族。60歳。外見は30代前半。
伯爵/アルジェーン:王の配下。忌族。銀髪にアイスブルーの瞳を持つ美女。




