14.裏工作
【今回のあらすじ】
真澄は浩一に、勇真にカードを渡してくれた礼を言う。
「おじさん、ありがとう」
勇真が事務所を出て行ったのを確認してから、真澄は事務所の奥の部屋から顔を出し、浩一に笑いかけた。
「カードキーを渡してくれて助かったよ。本当は家と一緒に焼けちゃってたはずの物だから、渡す方法がなくって困ってたんだ」
「いや、連絡を取りたかったから、機会を作ってもらえて、こちらこそ助かったよ」
「周佑君にもお礼を言っといてね。ユウ君ったら、本当にのんびり屋さんなんだから、誰かがお尻を蹴飛ばしてあげないと、下手すりゃ何年も動かないよ。まったく」
真澄は、ぷんぷんと口で言ったものの、顔は笑っている。
「それでねぇ、おじさん……」
真澄は、指を噛んで血を滴らせると、霧に変えて部屋に撒いた。浩一の目がとろんとなる。
顔を近づけて囁いた。
「本当は、ボクの眷属になってもらって、いろいろと助けてほしいところなんだけれど、寅三さんが眷属を作るのを嫌がるし、たぶん老師も許してくれないから、残念だけどボクのことは全部忘れてね」
浩一から自分の記憶を消し去った真澄は、ニコニコと機嫌よく事務所の出口に向かった。
扉を開けてから「あっ」と振り向く。
「記憶を消しちゃったから、周佑君にお礼を伝えてもらえないよね。ボクが自分で言ってくるからいいよ」ついでに周佑君の記憶も改竄しとかなきゃね、と呟いて、扉を閉めた。
【登場人物】
河合浩一:神護家の税務を担当していた税理士。勇真の友人周佑の父。
神護真澄:勇真の兄。血種。35歳。外見は7歳。
神護勇真:主人公。33歳。IT企業に勤めるサラリーマン。
河合周佑:浩一の息子。勇真の友人。
寅三:詳細は後に判明。今はナイショ。
老師:詳細は後に判明。今はナイショ。
【用語】
カードキー:前回、浩一が勇真に渡した貸金庫のカード。
眷属:血種に協力する人間。




