表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
伯爵令嬢デボラと姉と婚約解消  作者: オギノナギ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

2/5

2話 ラブレター

「私はフリッツ様と結婚予定なのですわ。デボラ様と違って、私は優秀な女ですから、フリッツ様をきっと満足させてあげられます。私にかかれば、フリッツ様だって浮気しないに決まっています。うふふ、すっごく楽しみですわ。両親も最初は反対していましたが、折れてくれて何よりです」


 家でキャシーがめちゃくちゃ喜んでいた。キャシーはお見合いで何度も失敗して困っていたから、キャシーの婚約が決まったこと自体は喜ばしい。


 でも、あの浮気性のフリッツだよ。あんなフリッツと結婚して、キャシーが幸せになれるとは思えなかった。


 というか、両親もキャシーをもっとちゃんと止めてほしい。男性の浮気に割と寛容な世界観ではあるけれど、それでも限度があるだろう。


 フリッツのせいで、庶民の女性が被害に遭っているんだよ。まあ、庶民の人権もあんまりない世界観だけれどさ。


「キャシーお姉様ご婚約おめでとうございます。どうかお気をつけて」


 私はそのように伝えてみた。すると、キャシーは怒り出した。


「デボラ様のくせに生意気な口を叩かないでくださいよ。私はフリッツ様に尽くすので、気をつけなくても問題なんか起きませんよ。私とフリッツ様のラブラブ結婚生活を、デボラ様はじっくり見ているといいのですわ」


 キャシーがそこまで言うなら、別にいいかな。キャシーなんて放っておこう。


 そう思って、私はキャシーをしばらく放置していた。キャシーは私にノロケ話をしようと追いかけ回してきたけれど、私は全力で逃げた。


 そんなある日、フリッツから私宛ての手紙が届いた。甘い香水臭い手紙だけれど、何これ。


「愛しのデボラ様へ。俺はキャシー様と婚約しました。キャシー様のこと自体はかわいいと思ってます。でも、俺はキャシー様だけを愛せません。毎日同じ女を抱き続けるとか拷問ですよ。ほら、どんなに好きな食べ物でも、毎日同じ食べ物を食べていたら飽きやすいでしょ、それと一緒です。ですから、俺は他の女と仲よくしたいんです。なのに、キャシー様は俺に対して独占欲を発揮してくるんですよ。正直、キャシー様がすっごく邪魔なんです。やっぱり、俺にはデボラ様の方が合ってました。俺はデボラ様とよりを戻したいんです。俺の心はこの香水のように甘く焦がれていて、デボラのことをずっと想ってます。とりあえず、俺はデボラ様とこっそり会って、熱い夜を過ごしたいんです。貴族の浮気や婚前交渉はダメと言われていますが、ルールを被ることにも興奮するでしょ。デボラ様からの快い返事をめっちゃ待ってます。君の運命の男フリッツより」


 フリッツからの手紙を読み上げて、私は呆れ果ててしまった。心底気持ち悪いんだけど。


 でも、このフリッツからの手紙は、キャシーに報告した方がよさそうだな。この手紙を下手に隠して、あとでバレたら面倒なことになりかねないし。


 と言うわけで、その手紙を持って、私はキャシーの部屋へと訪れた。そして、キャシーに手紙を見せた。


「ふざけないでくださいっ。私はそんなお手紙を信じませんっ。フリッツ様が私以外に愛をささやくだなんて、最絶対嘘ですっ。デボラったら最低ですわねっ」


 キャシーが叫び出した。キャシーの声は普段より低くて濁っていたし、キャシーの顔には血が上って真っ赤だった。


「いいえ。これは本物の手紙です。フリッツ様の筆跡を、キャシーお姉様なら見分けられるでしょう」


 そのように伝えてみた。すると、キャシーはますますブチ切れた。


「だとしたら、デボラ様がフリッツ様を誘惑してたぶらかしたに違いありませんっ。デボラ様ったらとんだ悪女ですのね。やっぱり、デボラ様はずっと嫉妬していたのでしょう。デボラ様ったらかわいそうに。デボラ様なんかより、私の方がずっといい女ですわっ。私がデボラ様なんかに負けるはずありませんっ」


 キャシーの発言が意味不明すぎる。婚約解消した私が、なんでフリッツにアプローチしなきゃいけないんだ。そもそも、この手紙の文章からしても、フリッツが積極的だろう。


「いいえ。私は婚約解消してから、フリッツ様と一度も会話しておりません。社交パーティでさえ、私はフリッツ様を避けています」


 そう言い切ってみた。でも、キャシーの態度は変わらない。


「デボラ様、ふざけるのも大概にしてほしいのですわ。私の愛するフリッツ様が、デボラ様なんかに惹かれるはずないでしょう。デボラ様がフリッツ様を騙したに決まっていますわ。デボラ様が全部悪いんです。デボラ様なんか死んでしまえばいいのです。デボラ様なんか存在しなければ、私がフリッツ様にもっと愛してもらえるなのですから」

 

 キャシーはそう言いながら、今にもはつかみかかってきそうな怖さがあった。キャシーに首を絞められて殺されたりしたらどうしよう。


「では、このお手紙はフリッツ様からのものではなく、誰かのイタズラでしょう」


 私はそのように言ってみた。すると、キャシーは急に笑い始めた。


「確かにそうですわっ。フリッツ様がこんな情熱的なお手紙を、デボラ様に送るはずありませんもの。そのお手紙は、ライバル貴族のワナに決まっていますわ。うふふ。あははははっ」


 キャシーがご機嫌になったので、もうこれでよしとしよう。キャシーをこれ以上刺激したくないし。


 でも、なんか嫌な予感がする。どうしようかな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ