↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最後の一人になっても  作者: アルファベット・あき蔵
第2章:第245小隊_ファントム・ブーケ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

10/31

豪火の巨獣

ドドドドドォォォォンッ!!


着弾の瞬間、視界のすべてが真っ赤な爆炎によって塗りつぶされた。


「ハハッ! 相変わらず挨拶代わりの豪快な花火じゃねえか!」


爆風の嵐の中、高機動スラスターを激しく吹かしながら、ガーベラが瓦礫の山を立体的に駆け抜ける。

プロメテウスの全身から生えた無数の生体砲身が、不気味な脈動とともにガーベラへ向けて追尾型の高熱弾を撒き散らすが、彼は紙一重でそれを回避していく。


「ガーベラが引きつけた! カサブランカ、敵の側面の火力と補給ラインを切れ!」

「了解(ラジャー)……愚かなクローンども、可愛がってあげるわ」


隊長デルフィニウムの冷徹な飛沫のような指示に、カサブランカが艶やかな笑みを返した。

彼女が腰のコンソールを操作すると、周囲の瓦礫に仕掛けられていた無数の超高熱ワイヤーが一斉に跳ね上がる。プロメテウスの足元を固めていた無数のクローン兵たちが、叫び声をあげる間もなく肉体をサイコロ状に切断され、次々と爆発を起こして炎上した。


「右翼の雑魚、排除完了。……さあプロテア、あなたの出番よ」

「カッカッ! 待ちくたびれたぜぇ!」


豪快な咆哮とともに、巨漢プロテアが前線へ躍り出た。

彼が掲げた大口径多連装機関砲『ギガント・バスター』の六条の砲身が、けたたましい回転音を上げ始める。


ズババババババババババババババババババッ!!!


吐き出された極太の徹甲弾の雨が、プロメテウスの生体甲殻に叩きつけられた。

プロメテウスがこちらへ砲身を向け直そうとするが、プロテアの放つ圧倒的な火力の前に肉体が激しく揺らぎ、砲撃姿勢を崩される。


「どうしたバケモノ! 威勢がいいのは見た目だけかァ!? 俺の火力を全部呑み込んでみろッ!」


プロテアは足のスパイクを地面に深く突き刺し、反動を力づくでねじ伏せながら絶え間なく弾丸を叩き込み続ける。プロメテウスの生体砲身が次々と削り取られ、紫色の体液と火花が散った。


「敵の機動、完全に停止! 射撃ライン、クリア!」


ブルースターの叫び声が通信機に響く。


「今だ、グロリオサッ!!」


デルフィニウムの短く鋭い号令。


「――応ッ!!」


爆炎の渦の中から、一筋の赤い閃光が飛び出した。

グロリオサである。

背部のオーバードライブ・ブースターが狂ったような爆音を上げ、黒い油泥の地面を滑走する。プロメテウスが最後の抵抗とばかりに口内に高熱エネルギーを充填し始めるが、遅い。


「俺たちの仲間を蒸発させた気分はどうだった……!? お前の相手は、俺たち『ファントム・ブーケ』だ!!」


グロリオサは跳躍した。

赤く塗装された強化外骨格が、プロメテウスの巨大な胸甲殻へと直接着地する。

滑る生体組織へ足の爪を叩き込み、彼は両手で構えた近接破砕ショットガン『ブラスト・ストライカー』の砲身を、プロメテウスの頭部――脈動する巨大な単眼のど真ん中へと突き立てた。


「一発目だぁぁぁぁぁッ!!」


ドバァァァァンッ!!!


ゼロ距離での爆砕射撃。

超硬合金スラグ弾と高熱爆薬の塊が至近距離で炸裂し、プロメテウスの生体脳幹が内部から激しく破裂した。


ドォォォォォンッ!


巨体が大きくのけぞり、全身の生体砲身から光が消える。

山のような肉体が、激しい地鳴りを立てて焦土の上へと崩れ落ちた。


「グロリオサ、すぐに離れろ!」


直後、デルフィニウムの鋭い警告が通信を打った。

着地したグロリオサが即座に後方へ跳躍すると同時に、倒れ伏したプロメテウスの背から巨大な肉質の触手が突如噴出し、先ほどまで彼がいた地面を深く穿った。


「なっ……脳幹を潰されて動くだと!?」

「クソが、生体組織が強引に再結合してやがる! どんな生命力してやがるんだ!」


ガーベラが舌打ちし、プロテアが速射砲のバレルを加熱させながら再び構え直す。

崩壊した頭部を中心に、黒紫色の体液が濁流のように溢れ出していた。

肉塊が波打ち、引き裂かれた甲殻が蠢(うごめ)きながら再生が始まる。


「再構成……! 本気を出すってわけね」

「不吉なことを言わないでください! カサブランカ少尉、次が来ます!」


ブルースターが叫び、シールドの出力レベルを過熱ギリギリまで引き上げる。

周囲の熱量が急上昇し、黒い雨が着弾する前に蒸発して白い霧へと変わっていった。


「……油断するな」


狙撃砲を構えたまま、デルフィニウムの冷ややかな声が全員のバイザーに響いた。


「敵の細胞活動、停止していない。……来るぞ」


崩れ落ちたプロメテウスの巨体の中心から、どっ、と不気味な心臓の鼓動が響き渡った。

傷口から無数の新たな生体砲身が生やされ、その一つひとつが禍々しい赤光を宿し始めていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。