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幕末異聞 おらぞの藤兵衛 ~異界帰りの侍、海から歴史を変える~  作者: 曽我部穂岐
第二章 舫と白波

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第二十九話 海南政典

 ――安政五年四月 高知城下、参政局。


 昼の光は高かった。城下の屋根には、もう初夏を思わせる白さが差しはじめている。だが、参政局の一間に入ると、その光は障子に砕かれ、むしろ紙の白と墨の黒だけを際立たせた。


 吉田東洋は、机の前に端坐していた。


 机上には、三家老の合議を経て戻ってきた書付が重ねられている。主船所増設、三段階造船、海陣奉行所改組、新世社の別簿運用――いずれも別々の案件に見えて、実は根を一つにするものであった。


 東洋はその束へ指先を置いたまま、しばらく動かなかった。


 船を造る。

 港を分ける。

 兵を備える。

 金の流れを変える。

 人を育てる。


 どれも急がねばならぬ。だが、急ぐべきことが多い時ほど、藩は足をもつれさせる。人は、良きことを思いつけば、そのまま世が動くと思いがちだ。実際は違う。役が立ち、金が立ち、責が立ち、その上で人が足りる時にしか、物は動かぬ。


「……船一艘二艘にて、藩は変わらぬ」


 低く漏れたその声は、独り言というより、自らに言い聞かせる響きであった。


 鳴龍丸は、もはや奇策ではない。

 献上御用舟も、ただの献納では済まぬ。

 この先の土佐は、海を以て富を引き、海を以て兵を備え、海を以て公儀と朝廷のあいだに立たねばならぬ。ならば、船政だけを決めても足りない。藩そのものの仕組みを、海に合うよう書き換えねば、いずれ船の方が藩を食う。


 東洋は顔を上げた。


「軍制奉行を呼べ。幡多奉行もだ」


 控えていた者が一礼して去る。東洋は開いたままの書付に目を戻した。主馬が押さえた三段階造船の筋、治郎兵衛が引いた海陣の実務、万が示した外洋大型艦の原図、藤兵衛が立てた一橋方との分担――いずれも、すでに船の話に留まっていない。


 ここから先は、参政の仕事であった。




 やがて二人が通された。


 軍制奉行・乾退助は、いつものように音を立てずに入ってきた。八ヶ月前に奉行へ抜擢された頃の、切っ先のような若さはまだ残っている。だが今は違う。座に着く時の膝の運びひとつにも、まず自らを正してから人を率いる者の固さがある。若いことは変わらない。されど、その若さはもはや軽さではなく、責を負って締まった若さであった。


 幡多奉行・後藤良輔は、その半歩あとから入った。こちらはさらに若い。されど抜擢以来、政務総裁家老・深尾鼎の下で港と勘定の実務に揉まれたのだろう、生来の温和さと人当たりのよさは損なわぬまま、物の軽重を見る眼だけが深くなっていた。座へ着く前に机上の書付の束と東洋の手元の筆先とをひと目で確かめる。人の心を和らげつつ、数と流れを外さぬ者の眼であった。


「お呼びにて」


「うむ。座れ」


 二人が座を正すのを見届けてから、東洋は机上の紙束を軽く叩いた。


「三家老との合議で、船の筋は定まった。献上御用舟二艘は一年をもって整え、その間に中小の蒸気船群を備える。外洋大型艦は原図として藩の手元へ置き、時と金と人が揃えば起こす――ここまでは、もう船の話として済んでおる」


 退助も良輔も黙ってうなずいた。


「されど」


 東洋は続けた。


「ここから先は、船では済まぬ。造艦は海陣に触れる。海陣は港に触れる。港は商いに触れる。商いは金に触れる。金は人を呼び、人は学へ触れる。どこか一つだけ変えて済む話ではない。にもかかわらず、藩の仕組みは未だ、継ぎ接ぎのままだ」


 東洋の視線が、二人の若者を順に捉える。


「退助。そなたは軍制奉行として見よ。良輔。そなたは幡多奉行として見よ。船を造ると決めた藩が、その船に食われぬためには、何を先に法へ立てるべきか」


 それは問いであった。だが、同時に任でもあった。


 最初に口を開いたのは退助である。


「……軍制にございます」


 短く、迷いのない答えだった。


「船が増えても、今の舟手方のままでは軍にはなりませぬ。砲術、操船、測量、機関――それぞれ分かれておっては、戦の折にかえって人が迷います。船を持つことと、艦隊を持つことは別にございます」


 東洋がうなずく。


「続きを申せ」


「平時の備えと有事の差配、その双方を海陣奉行所へ一つに束ねねばなりませぬ。浦戸に常備を置き、高知・御畳瀬に近海警護、室戸筋に急報と救難、西の宿毛・中村には黒潮筋の警邏。責の置き場が曖昧なままでは、船があっても人が動きませぬ」


「兵は、船に従うにあらず。秩序に従う」


「はい」


 退助は深く頭を下げた。


「ゆえに艦隊編成、職掌、階級、考課、賞罰――そこまで要ります」


 今度は良輔が口を開いた。


「港も同じにございます」


 東洋が目を向けると、良輔は一拍置いて続けた。


「浦戸に政も兵も修船も商いも押し込めれば、いずれ詰まります。船が増えれば荷も増える。荷が増えれば人が増える。人が増えれば、政も兵も、外からの応接も混じり合う。混じれば、どこかで必ず手が回らなくなる」


「では、どう分ける」


「浦戸は政と兵にございます。藩の心臓です。ここへ異国を近づけてはなりませぬ」


 東洋の目が静かに細くなる。


「うむ」


「浦ノ内は工と修。舟渠を置き、大船の修繕と乾泊を受け持たせる。そして宿毛――」


 良輔はそこで、ほんの少し声を低くした。


「宿毛は、交と商の口にせねばなりませぬ」


 退助が眉を寄せる。


「宿毛を、外へ向けると申すか」


「左様。荷を扱うのみでは足りませぬ。異国の船、人、文、薬、器械――外から来るものを、いずれ一つの港へ寄せて捌けるようにしておく要がございましょう」


「浦戸ではなく」


「浦戸を出せば、藩の喉元を明けるに等しゅうございます」


 良輔の声は静かだったが、よく通った。


「いずれ公儀が、異国応接のため一港を割けと申す時が来ぬとも限りませぬ。その時、土佐として“ここならば出せる”口を、今のうちから持っておくべきかと」


 東洋は、そこでしばらく黙った。


 いま良輔が口にしたのは、ただの港湾論ではない。後日の政まで見越して、浦戸を守りつつ宿毛を差し出せるようにしておく――その布石である。


「……先を見ておるな、良輔」


「幡多は西にございます」


 良輔の答えは簡潔だった。


「西は、いつも先に風を受けまする」


 東洋の口元に、ごくかすかな笑みが差した。


「左様。浦戸は藩の心臓だ。異国に触れさせるなら、まず宿毛へ寄せる。その分けがあれば、藩の政と兵を守ったまま、公儀の面目と通商の筋とを立てられる」


 退助も頷いた。


「兵の側から見ても、その方がよい。外の船が浦戸へ自由に近づけば、海防は守るためでなく、見張るために吸われる」


 東洋は紙へ短く書き留めた。


 浦戸――政・兵の根拠

 宿毛――交・商の窓口

 浦ノ内――工・修の要害


 筆の音が、紙の上を短く走る。




「されど」


 良輔が続けた。


「港を分けても、金を分けねば育ちませぬ」


 東洋は顔を上げる。


「申せ」


「新世社にございます。港を整え、商いを起こし、造船と教育へも金を回すとなれば、藩庫へ一度入れていては遅うございます。遅いだけではない。藩の不足を埋める財布にされて終いましょう」


 退助が、その言葉に小さく頷く。兵もまた、しばしば穴埋めのために削られることを知っているからだ。


 東洋は言った。


「つまり、別簿か」


「はい。新世社の利は藩庫へ編入せず、船政、港湾、教育、工房へ戻すべきにございます。年の不足を埋める金にすれば、その年は凌げても、翌年の港も船も死にます」


 東洋は、そこで少しだけ強く机を指で打った。


「藩が産を食えば、その年は保とう。されど次の年を失う」


 良輔が深く頭を垂れる。


「左様にございます」


「ならば基金を立てる」


 東洋は、もう迷わぬ声で言った。


「藩の常用は常の出納にて賄う。されど新世社の利より出たものは、別の勘定にて殖産・船政・学問の用へ差し向ける。船用の積立、殖産の積立――名は後に定めてもよい。藩が都度口を挟まずとも、筋に従って金が流れるようにせねばならぬ」


 退助が、そこで口を挟んだ。


「金の流れが定まれば、人も要ります」


「うむ。そこへ移る」


 東洋は筆を置いた。


「船は家格では動かぬ。釜は門閥を知らぬ。測量も製図も、藩士の家柄ではなく、才ある者にやらせねば役には立たぬ」


 退助が、ここではじめて少し渋い顔をした。


「東洋先生」


「何だ」


「兵は、序を失えば乱れます。こと海陣となれば、上下が曖昧では命に関わる」


 東洋はすぐには返さなかった。退助の渋りはもっともである。だからこそ、その先を切らねばならぬ。


「その通りだ。序は要る」


 退助が少しだけ顔を上げる。


「されど、その序は家柄にではなく、役目に従わせる」


「役目に……」


「うむ」


 東洋は言った。


「官班は立てる。職階も立てる。任免の規を定める。考課も賞罰も書く。だが、その根は“この家だからこの役”ではない。役を果たす者が、その役に就く。海陣も、主船所も、新世社も、工科も、皆同じだ」


 退助はなお黙っていた。だが、その黙りは反発ではなく、秩序の置き場所を考え直す黙りに変わっている。


 良輔が静かに言った。


「文武館工科、にございますな」


 東洋は頷く。


「文科、武科のみでは足らぬ。工科を置く。機関、製図、幾何、測量、算理、材木、鋳物――船を回す藩は、その手の者を抱えねばならぬ」


「出自は」


 退助が問い返した。


「問わぬ。ただし試験を課す。成績で登用する。海軍・船政・新世社、そのいずれへも、役目に応じて配する。そうせねば、鳴龍丸の先は続かぬ」


 外では風が一度だけ障子を鳴らした。春の音である。

 だが、その春はもはや穏やかさのみのものではない。海の先から来る変化を、土佐がどう抱き取るかを問う音にも聞こえた。




 東洋は、ゆっくりと新しい紙を引き寄せた。


「これに名を置く」


 退助も良輔も、自然に居ずまいを正した。


 東洋は、しばし何も書かなかった。目を閉じるでもなく、ただ紙の白さを見ている。鳴龍丸、献上御用舟、三段階造船、三港分担、海陣奉行所、新世社、工科――それらが一つの藩の骨として立つかどうかは、今から置く名にかかっている。


 やがて筆が上がる。


 紙の上に、力のある字が並んだ。


 『海南政典』


 書き終えても、東洋はすぐには筆を離さなかった。


「海南……」


 退助が、低く復した。


「土佐は南の海に在る。されど、ただ南に在るだけでは足らぬ」


 東洋が言う。


「海を以て富を引き、海を以て兵を備え、海を以て国を護る。そういう藩として、己の仕組みを立てるための典だ。船の書にあらず。船を抱えうる藩となるための政の典だ」


 良輔は深く頭を下げた。


「まことに」


 東洋は次の紙へ移った。


 第一篇 職掌


 官制総則。

 中枢と執行。

 職掌と責任。

 旧来の格式を、役目本位へ改めること。


 続いて筆は、別の紙へ移った。


 第三篇 海政大綱


 第一条。


 東洋はそこで、あらためて墨を含ませた。


 本藩は海を以て富とし、海を以て国を護るを藩是とす。


 筆が止まる。


 その一行の重みを、三人とも黙って受けた。


 退助は、その一行の中に、船ではなく艦隊を見た。

 良輔は、その一行の中に、港ではなく海の窓口となる宿毛を見た。

 東洋は、その一行の先に、鳴龍丸一艘で浮き立つのではなく、海そのものを藩是として抱える土佐の姿を見ていた。


 やがて東洋は顔を上げた。


「退助。海陣の職掌と艦隊編成、そなたが骨を引け」


「は」


「良輔。三港の分け、新世社の別簿、宿毛の応接筋、そなたが細目を詰めよ」


「承りました」


 東洋はうなずく。


「急ぐが、急ぎすぎるな。十年残る文は、一日の熱で書くな」


 二人は深く頭を下げた。


 障子の向こうでは、城下の昼がまだ高い。

 鳴龍丸はすでに海の上にある。

 だが、その鳴龍丸を藩の力へ変える文は、いまようやく紙の上にあらわれたばかりだった。


 東洋は、もう一度筆を執った。

 海南政典――その名の下に、土佐は一艘の船に頼る藩ではなく、海そのものを藩是として立つ藩へと、静かに舵を切りはじめていた。

【史実解説】海南政典


本作に登場する『海南政典』そのものは、完全な創作ではありません。史実にも、吉田東洋が関わった土佐藩の法典『海南政典』が存在します。


史実の『海南政典』は、少なくとも安政四年(1857年)には存在が確認できます。

そのうえで、吉田東洋の藩政改革と結びつけて語る場合には、安政五年(1858年)の改革期に本格的に整備・運用されたものとして説明されることが多いようです。


史実の『海南政典』は、職制・考課・継嗣・寺社・戸籍・土地・市場・賦役・営繕・法律など、藩政全般を扱う法典でした。

本作ではそれを土台としつつ、「海を以て富とし、海を以て国を護る」という土佐の新たな藩是を前面に出し、海政・船政・海軍・殖産・学政の色合いを強めた再構成としています。


これは、吉田東洋の改革そのものが、史実においても殖産・交易・統制強化を重視していたためです。

本作ではそこに、後年の土佐藩が実際に進んでいく開成館・海軍・殖産政策の要素も、やや前倒しする形で重ねています。


土佐藩が実際に向かっていった、「海を通じて富を生み、軍備を整え、藩の仕組みを変えていく」という流れを、東洋の手でより早く、より明確な法典として結晶させたもの――そう受け取っていただければ嬉しいです。



※創作版全文  作中資料に興味のある方はご覧ください

■『海南政典』


第一篇 職掌

第一条 官制総則

政務は内朝官(中枢)と外朝官(執行)に分け、庁局・所属ごとの職掌・権限・責任を明らかにする。旧来の複雑な格式は簡略にし、官職本位の運用に改める。

第二条 官班・職階

職階五等を立てて官人の位次とし、身分は職務に従うものとする。

第三条 任免

任用は才と行いによる。私怨私恩を避け、規程を先とする。


第二篇 考課

第一条 考課法

毎年一度、勤怠・能否・廉恥・功過を評して、昇降を定める。

第二条 賞罰

賞は叙任・加増・褒状とし、罰は謹責・降等・免官とする。


第三篇 海政大綱

第一条 海国立藩

本藩は海をもって富とし、海をもって国を護ることを藩是とする。

第二条 海政三本柱

造艦・海陣・海運をもって海政の三本柱とする。

第三条 三海防区

浦戸・室戸・宿毛を海防区とし、海陣奉行所がこれを総括する。


第四篇 船政

第一条 主船所(船廠)

浦戸に主船所を置き、材木方・機関方・鋳物方・船匠工を設け、設計・建造・修繕・点検を掌らせる。

第二条 造船計画

一 短期は、沿岸警護の小型蒸気船および中型双胴船を建造する。

二 中期は、中型双胴船の量産、機関工房の拡張、人材養成を進める。

三 長期は、外洋大型蒸気船一隻の建造を目ざし、その備えを進める。

第三条 港湾三分

一 浦戸港は、内政・軍事・防衛の中枢港とし、主船所を置く。港内築造・入港審査は厳にし、外国船の入港は特別の場合を除いて許さない。

二 宿毛港は、対外応接・海外交易の外港とする。外国船の寄港・応接、通商上の往来・荷場・検査は、原則として本港で行う。港政は海陣奉行所と新世社の協議によって監督する。

三 浦ノ内湾は、舟渠・修船の専属港とする。大型船・商船・軍船の修繕・乾泊は本湾の舟渠で行う。外国船の入湾は原則これを禁じ、浦戸の船廠と連動して機密・安全を第一とする。

第四条 港湾協同

浦戸は政と兵の根拠、宿毛は交と商の窓口、浦ノ内は工と修の要害とし、三港は互いに補い合って連携する。

第五条 港湾の封鎖・開示

風水害・外患・兵備上の必要がある時は、海陣奉行は三港のいずれをも一時封鎖し、入出港の停止・制限を行うことができる。


第五篇 海軍(海陣)

第一条 海陣奉行所

海防総督直属とし、舟手方・砲術方・機関方・測量方の四局を置く。

第二条 艦隊編成

第一戦隊(浦戸常備) 中型双胴船 二艘 外洋勤務の主力

第二戦隊(高知・御畳瀬) 小型高速船 三艘 港湾・近海警護

第三戦隊(室戸・奈半利) 外輪小型船 四艘 救難・急報・浅瀬作戦

第四戦隊(宿毛・中村) 帆走・蒸気混成船 若干 黒潮沿岸の警邏・取締

第三条 階級

大監・中監・小監・船将・砲将・機関将・船士・水夫を置く。登用は功績および学成による。


第六篇 殖産興業

第一章 土地(旧・田畝)

地券・地目・等級、測量・検地、年貢法、開墾・治水の規程を定める。

第二章 山林資源(旧・山藪)

禁伐・植付、採掘・修路・新設、狩猟・薬草、水源涵養の規程を定める。

第三章 市場・関所(旧・関市)

市場監督(計量・衛生・価格)、関札・通行・荷票、物流監査、談合・買占めの禁を定める。

第四章 専売公社 新世社

新世社は本藩直営の専売公社とし、主要産物の買上・販売、積荷・輸送調整、工場運営を掌る。

その利益は藩庫に編入せず、殖産・港湾・教育のための積立として別に管理する。

宿毛港での荷役・検査は海陣奉行所と協同する。

第五章 工業・技術

製紙・製材・精油・鍛冶・機関工房などの設置、技術者待遇、規格・品質検査、文武館工科との人材連携を定める。

第六章 貿易

海外交易は新世社の許可・監督のもとに行う。無許可交易を禁ずる。

輸出は木材・紙・海産・船具・鉄製品を主とし、輸入は書籍・測器・薬品・機械部品を主とする。

海難救助は国際信義の基とする。


第七篇 財政

第一章 会計・積立

常の出納と別段の出納を分け、監査・年次公示を定める。

殖産積立・船政積立その他は別に帳簿を立てて管理する。

第二章 租税・賦役

租率・納期・災異減免、夫役・船役・軍役、代納・免除の規程を定める。

賦課は戸籍・兵備台帳と照らし合わせて行う。

第三章 倉庫・備蓄

藩倉・済度倉の備蓄・出納・帳簿、放出基準(飢饉・兵事・疫病)、年次棚卸・不正の厳罰を定める。

第四章 緊急支出

兵乱・天災における奉行合議のうえでの特別支出、港湾封鎖・救難などへの適用を定める。


第八篇 学政

第一条 文武館の再編

文武館に文科・武科・工科を置く。

文科は行政・経済・語学・簿記を修める。

武科は兵学・海軍・砲術・操船を修める。

工科は機関・測量・製図・幾何を修める。

第二条 入学・登用

出自・身分を問わず、試験・成績によって入学・登用を定める。

優等者は官職に補し、海軍・船政・新世社などへ実務配属する。


第九篇 戸籍

第一条 戸口登録

出生・死去・移住の申告を定め、兵籍・課役台帳との照応を厳にする。

第二条 台帳管理

統計・検閲・偽籍の懲制を定める。

第十篇 営繕

港湾・道路・橋梁・城郭の修築、資材調達・人足法、検査・引渡の規程を定める。

第十一篇 寺社

寺社の社格・什持、境内地登録、祭祀・年中行事の式目を定める。

第十二篇 継嗣

家督・相続・養子の規程、女子・庶子・分家の取扱いを定める。

第十三篇 法律

科条・訴訟手続・裁断の等級を定める。



参考史料:『安政海南政典』

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