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真・摂政戦記 0022話 北太平洋にて

 1941年下旬 『北太平洋 アメリカ西海岸より250キロの海域』


「9番艦、別れを告げています!」

 通信班の一人が叫んだ。


 その報告に戦隊司令官が右舷側に目をやると9番艦が炎に包まれながら海に向け降下していくのが見える。

 遠い9番艦の艦橋に、こちらに向け敬礼している者の姿が小さく見えた。

 

 戦隊司令官は強く拳を握りしめ、歯を食いしばった。 

 だが、感傷に浸っている暇は無い。

 戦闘は続いている。

 

「敵機、8番艦を攻撃中! あっ! 8番艦後部より火が出ました!」

 第2機銃要員が叫ぶ。


「貴重な船と兵士をここまで来てむざむざと!」

 戦隊司令官が唸るように声を絞り出す。


「落とせ!! これ以上やらせてはならん!! 何としてでも敵機を落とせ!!」

 戦隊司令官の傍らで参謀が叫ぶ。


 だが戦況は悪い。敵機の数は30機を超える。

 こちらの戦闘機は15機に過ぎない。

 敵の半分だ。

 しかも敵機の方が性能が良い。

 幾らテクノロジーにはテクニックで対抗しようとしても限界はある。  

 味方機は次々と撃ち落とされ、敵機は船に群がって来る。


 もはや戦況は絶望的だった……



「第1東遣航空艦隊第3戦隊」所属の3隻の硬式飛行船がアメリカ軍の戦闘機に襲われていた。

 アメリカ軍の戦闘機は艦載機。

 空母部隊所属だ。


 キンメル太平洋艦隊司令長官はアメリカ西海岸に上陸した日本軍をまずは殲滅し、アメリカ本土との後方連絡線を再確立しようと空母エンタープライズとレキシントンを中心とする空母部隊を差し向けた。

 その空母部隊がハワイから西海岸に向かう航行中、偶然にも日本の飛行船団を視認したのである。


 それは日本から西海岸の占領地区に補給物資を運ぶ「第1東遣航空艦隊第3戦隊」所属の3隻の硬式飛行船だった。


 この日、太平洋上で「第1東遣航空艦隊第3戦隊」は全滅した。

 被害は大型硬式飛行船3隻と艦載戦闘機15機。それに多数の兵士と補給品。

 アメリカ軍の損害は戦闘機9機である。


 アメリカ軍の勝利だ。

 ようやく掴んだアメリカ軍の小さな勝利。


 しかしその勝利が後にアメリカに大きな影響を齎すものとなる。

 それをまだアメリカ人は誰も知らない……


【to be continued】


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