5話
「よし、それじゃあこの町のことから話すとしよう」
「えっと…はい」何と答えていいかわからずに曖昧な返事をしてしまう。
「君も見てきたと思うが、この町は中央の大きなお城中心にできている。そしてその中心から円状に街が広がっていき、順に中央街、繁華街、下町…という風になっているんだ。まあ明確な境なんてものはないし例外な場所もいくつかあるのだがね」
そう言って老人はニヤリと笑う。
「まあそれについては後に置いておいて…君は空が何かに覆われていることに気付いていたかい?」
「え?あ、気付いていました。あの…オーロラみたいなやつですよね」突然の質問にまた慌ててしまった。この人のペースはよくわからない。普段人と話すことのなかった僕でももっとちゃんとした会話ができる。
「まあ、そう驚きなさんな。私がただ一人でしゃべっていてもおもしろくないだろう。えっと…ああそうだ。そのオーロラみたいなものの正体はバリアと言うものだ。あのバリアはこの町全体に広がっており、外からの魔物や動物の侵入を防いでくれる」
「え?魔物?この世界には魔物なんているんですか!?」思わず叫んでしまう。しかし僕は魔物なんてもの望んでいない。
「ああ、いるよ。ただしこの町には入ってこないし、そもそもきっと君にはそれほど脅威な存在にはならないと思う」
「僕には…なんですって?」
「脅威ではないと言ったんだよ」
いやいやいや。無理でしょ。魔物とか言うのがハムスターとかウサギみたいなかわいいものならともかく、町全体をバリアで守らなきゃいけないような奴にぼくがどうしろと?
「狂ってるよ」思わず声に出てしまった。慌てて口をふさぐ。
「ハッハッハ。確かに今のままでは君の目にはそう映るかもしれない。ただ私はまだ君に話していないことがあるだろう?」
「まだ話してない話……あ!」
「そうだ。それじゃあ『魔法』の話を始めよう。」老人は語気を荒げてそう言って、さらに続ける。
「魔法というのはこの世界では主に想像力と精神力で成り立っている。簡単に説明すると炎が手から出るという想像力。手のひらに炎を出すと念じる精神力だ。」
そう説明しながら老人は手のひらを上に向け勇都の前に伸ばす。その瞬間。
ボンッ
火柱が上がった。勇都は言葉を失っていた。だが心の中は未知なる魔法への期待と興奮でいっぱいだった。




