英家、栃木へ行く!
瞬の実家のある栃木へ英家は向かう。
多分…間違いなく騒動が起きる!
~第八話~ その一
英家は車を所持していない。その為レンタカー=家族での大移動、旅行となっている。だが、今回は楽しい旅行ではなく…
早朝5時…
英家の一同はマンションのエントランス前に集合していた。雅樹は近くの駐車場に停めたレンタカーに乗り、家族を迎えに行く。
『お待たせ!忘れ物は大丈夫?トイレは?ママ書類は?シートベルト大丈夫?大丈夫なら出発するよ?』
『大丈夫よ~。安全運転でお願いします。』
『瞬君も大丈夫?パパ音楽!音楽流して!』
『僕は大丈夫です。由香さん朝早いのにテンション高いですね…』
『由香は、普段朝弱いけど、車に乗る時はいつもこうなのよ。』
『まだ英家に来てまだ、数日ですけど家族旅行みたいで楽しいです!』
嬉しそうに笑う瞬をルームミラー越しにチラリと見る。
『瞬君はもう家族だよ。だから遠慮はしないで欲しい。思った事、やりたいって思った事、何でも言って。』
『そうよ?血縁だけが家族の証ではないんだから、一緒にいたいって気持ちが家族の証明よ?』
『じゃあ出発するよ~!』
こうして英家はレンタカーに乗り込むと瞬の自宅のある栃木県の都市を目指す。
高速道路にて…
『そろそろ羽生サービスエリアだね。小休憩する?皆さんトイレは?』
『私行っとく。瞬君は?』
『よし、みんなトイレと身体を少し動かそう!』
『じゃあ私はパパのコーヒー買ってくるわね。みんなお腹減ってない?』
『私は大丈夫!瞬君お腹減ったでしょ?』
『少しだけ…』
『瞬君、遠慮は要らないからね?遠慮された方がウチは寂しぃ~…』
俺のおどけた言い方がツボにハマったのか、
瞬は笑いながら
『はい!』
『男の子だからお腹減るのも早いわよね~。ウチはパパしか男がいなかったから~軽く何か食べる?』
『そう、男は俺だけだから民主主義の暴力(多数決)でもいつも負けて…』
『パパ?何か言いたい事でもあるんですか?』
『うわぁ~、ママのブリザード…』
『いやぁ、たまには意見を取り上げてほしいなぁなんて…』
『ですからウチは民主主義的に多数決ですよね?』
『ソウデスネ…(棒読み)』
瞬は夫婦のやり取りを聞いてた楽しそうに笑っていた。
楽しそうな瞬を隣で眺める由香は、瞬に楽しそうに話しかける。
『ウチはいつもこんな感じ(笑)、ママが絶対王者…』
この言葉は最後まで由香の口からは発せられなかった…
笑顔の香奈が後を振り返り一言…
『由香さん…?』
普段は由香を由香さんとは絶対に呼ばない香奈の圧を俺は運転席で感じた…
このやり取りで瞬は本当に楽しそうに爆笑する。
瞬の楽しそうな笑い声でみんな笑いはじめる。
サービスエリアで少し休憩を取りながら《家族》の時間が穏やかに流れる…
早朝ガランとした店内。テーブル席に座り各々が軽食を食べながら辺りを見渡しながら話す。
『やっぱり早朝に出発して正解だったね。渋滞苦手なんだよ。』
『そうね、パパは渋滞に、トラウマあるもんね~』
『何々?渋滞でトイレが~ってなった?』
『それは由香、お前だ!』
『やめて、私の黒歴史曝さないで!』
『パパはまだ独身の時に私とドライブデートしてたんだけど、大渋滞にハマって…当時とんでもなく改造した車に乗ってたのよ~』
『クラッチってあるんだけど、改造したせいかスッゴく力を入れないと踏めない位でね?オートマだとアクセル踏むだけで動くけど、ミッション車はクラッチを踏まないとギアが入らないから、大変だったの。』
『それで渋滞にはまって、足が吊ってしまって車のドアを開けて道路でジタバタと…(笑)』
『あの時は焦ったよ。ママの前だから格好つけたかったんだけどなぁ。渋滞してたから車も殆ど動いてなかったから良かったけど…』
『他のドライバーさん達から救急車呼ばれそうになって…遠目でこんなカリッカリの改造車に乗ってるから…って笑われて(笑)』
『もしかしなくても、パパは元ヤン…?』
『意外です…』
『違う、違う。違いま~す!趣味の世界、サーキット走行が専門!』
『サーキット専門?じゃあ星空を見に行こうって街灯一つない山をとんでもないスピードで走ったのは誰?』
『いや、少しでも早く香奈と星空をゆっくりと眺めたくて…』
あえてママではなく香奈と呼ぶ。
『そろそろ出発するよ!』
その場を逃げ出し、状況を打開する為にあえて元気よく出発と叫ぶ俺…
『あ…元ヤン逃げた(笑)』
『元ヤンではないかもね~。見た目は普通のお兄ちゃんだったから。車に乗ると普段と違うキリッとした感じになってたけどね~』
由香&瞬は声を揃えて
『ご馳走さまです!』
と楽しそうに答えた。
こうしてサービスエリアを出発し、目的地に車を進める。
『もう少しで到着だけど、高速出る前にトイレは?大丈夫?特に由香は?』
『あまり私の尊厳を奪わないで…それだって凄く小さい頃の話なんだから!瞬君のお姉ちゃんのイメージが崩れるから!』
『まだお姉ちゃんって夢を語ってるの?』
『残念だけど夢ではないんだよね~、瞬君がこの前ママとと来た時にお姉ちゃんって呼んでくれたから!』
何?いきなりのカミングアウト?
『えっ?何その案件?俺聞いてない!』
香奈の席の後に座る瞬も、えっ?なにそれ?って顔してるんだが…
『えっ?僕言いました?』
『言いました!確かに言いました!』
『言ったわね~』
『何それ?何そのメシウマ案件は!聞いてないぞ!詳しく!』
『この前ね~ママと瞬君が…』
と先日の店長との事を嬉しそうに話す香奈。
ただ、娘の職場の店長の行動は俺も理解は出来る行動であったが…
確かに話を聞いたら負け確定…だから穏やかに逃げると…
由香には有効打だけど、香奈が現れた時点で最悪手となる…
由香が先程香奈のプレッシャーをブリザードと表現したが容易に想像がつく。
もっとも被害者としてかなり喰らった故の経験談だが…
その二に続く…
今回長くなっています。
なので何話かに分けています。




