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ハロウィンまであと少し…

雅樹の何気ない一日、雨の日は売り場のメンテナンス日より。

~19話~



『今日は一日雨か…』


雅樹は空を見上げため息をつく…

スーパーは天候との戦いでもある。

気温で売れる商品が大きく変化する。

勿論天候次第で客足は大きく変化する。


『こんな日は売り場の作り替えだなぁ…』


間もなく9月も終わりを迎える。


『ハロウィンの関連商材を揃えるか…』


雅樹は独り言を呟きながら、一人準備を進める。

そんな雅樹の肩にポンと手が置かれる。


『英さん、お疲れ!』


振り向くとそこには…雪柳と椿がいた。


『ああ、椿さん、雪柳さん、お疲れ。』


『英さん、売り場の作り替えかな?』


『そうなんですよ。見ての通りお客さんも少ないから秋の売り場プラス、ハロウィン、少し早めの冬にかえようかな…って』


うなづく様に雪柳が雅樹に問う。


『そうですね、スーパーは消費者が一番季節を感じる場所…前に英さんが言ってましたよね?』


少し呆れながら椿が呟く。


『しかし10月には、おせち料理やクリスマスケーキのカタログ、ギフトのカタログ…目まぐるしいモノだな…』


その二人に雅樹は…


『サンマが取れはじめてサンマ!では遅いんですよね。特に、おせちやケーキは11月では遅すぎます。イメージを先行させないと競合店で買われたらお終いですからね。食の好みも早めの鍋を演出しないと鍋って気持ちが湧かないですよね?』


『そうですね…鍋って意識が無いと肌寒くなるまで鍋って思い付かないモンですからね…』


『そうだな、鍋を意識したら気温が少し下がっただけで鍋の気持ちになるからな。』


『椿さんの実家の野菜も沢山使えますしね?』


雪柳が茶目っ気のある笑顔で椿に語りかける。


『ああ、保谷の土は素晴らしいぞ?英さんも雪柳君も今度お裾分けをもってくるとするよ。実家の畑は弟が丹精込めて世話をしてくれてるからな。』


誇らしげな椿を温かい目で見守る雪柳。

雅樹は椿の弟…どんな人物か興味を持つ。


『へぇ、椿さんに弟さんがいるんですか?』


『弟だけではない、妹もいる。何なら雪柳君はしょっちゅう会いに妹の所へ行っているらしいな?肩こり、眼精疲労、と何かと理由を探してな?』


咄嗟に雪柳は思考を高速回転させる。


『仕事とは身体のパフォーマンスを最大限に引き出さないとな。身体が思ったように反応しないのは許せないんだよ。』


『フフフ…そう言う事にしておこうか、それでは英さん、私達は手が空いたので一緒にやるとするか…』


『そうだな、これ以上はお互いの知られたく無い部分を英さんに暴露しあう事になるからな…』


二人は含みのある会話を楽しんでいるが、雅樹に本当の目的を悟られない様に振る舞う。

雅樹は鈍いようで、かなり鋭い。ただし、人の事についてだが…自身の事となるとかなり鈍い。


『英さん、カボチャの飾りはどこに置く?』


『まずは、野菜コーナーのカボチャ売り場、細かい配置はチーフにお任せしましょう。続いてスイーツコーナー、ここはメインです。』


『英さん、ここの棚の最下段でいいかな?』


『そうです。ただ、カボチャの飾りだけだと寂しいですからオレンジの布、アレを敷いて、更にブロックを、置いて高さを演出しませんか?』


『そうすると商品を並べるスペースが少なくならないかね?』


『随時補充をすればいいだけですよ。ハロウィンは知名度も上がったから、お祭り気分を更に演出しないと!』


『そうだったな…10年前ではスーパーでは知名度も何もなかったな。』


『そうだな…渋谷でコスプレから火が付いたよな…』


『アレが…若さと言うヤツか…』


『年を考えると一気に老け込みますよ?椿さん。』


椿の少し年寄り染みたセリフに雪柳はそれ程年も変わらない椿に《自分まで一緒に年寄り扱い》された様な気分になり、軽く苛立ち言葉を返す。


『椿さん、どうしたんですか?まるで部下に殴られた様な…』


『フッ…それだけ衝撃的だった…ただ…それだけさ…』


この言葉に雅樹が返す。


『身体は年々衰えて行くんですよね。ただ、気持ちはいつまでも20代と変わらないんですよね~。大人になれない大人。昔は年を取ったらあんなかっこいい爺ちゃんになれる!って思ってたんですけどね…』


この言葉に二人は思うところがあるのか…少しだけ考え込む…

雅樹は何も考えず話を続ける。


『昔のアニメでスゴ腕のスイーパーのヤツ、アレの主人公が言っていた《僕ちゃん永遠の20歳!》今なら分かりますけどね。』


その話に椿が…


『英さんもアレを見ていたのか…アレは…ロマンだ。』


雪柳も話を追いかける。


『ええ、二枚目と三枚目を行き来する、だがキメる時は最高の男を魅せる…エンディングの入り方も素晴らしい…』


『二人とも相当好きですね~。俺も未だに好きですよ。カラオケでも歌うし。』


椿が懐かしむ様に語る。


『私も新宿と言う街に憧れたものだよ。』


すかさず雪柳が椿を揶揄う。


『保谷…だから…ですか?』


この話で盛り上がる三人だったのだが…店内放送が雅樹を呼ぶ。


『業務連絡いたします。英さん、英さん、至急レジまでお願いします』


この放送を聞いた雅樹の表情が少しだけ締まる。

踵を返すと急ぎ足でレジに向かう雅樹。



最近は椿と雪柳が愉快なキャラになってきています。

コレからもかっこいい三枚目、冴羽獠的なキャラになってくれるでしょう(笑)

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