サバ味噌が食べたかっただけなんだけど…
サバ味噌が食べたかった女性が登場!
この女性…何物なのか?
~十一話~
元気な女性、それは由香であった。
店内に駆け込むなり、サバ味噌定食を注文する由香。そして雅樹と瞬の存在に気が付くと…
『アレ?パパと瞬君!偶然だねぇ~!ご飯ご馳走して!…ってお店の人も一緒かぁ…』
由香は雅樹のテーブルを見ると…
『あっ!室長…』
この言葉は最後まで口にすることは出来なかった。
それは無言の笑顔で由香に目配せする雪柳であった。余計な事を話すな!と強い圧力に感じられた。
『雅樹さん、こちらの元気なお嬢さんは?もしかして…お嬢さんですか?
初めまして俺は雅樹さんと一緒に働く、雪柳と言います。よろしくお願いします。』
何故か香奈を彷彿とさせる雪柳の笑顔。
『あっ…英雅樹の娘の英由香です。よろしくお願いします。』
『ほう、雅樹さんの娘さん…私は椿だ。よろしく頼む。』
『俺!皆瀬剛です!剛って呼んでください。』
『由香はコッチに座るか?それとも別のテーブル?』
『あっ…私は別の…』
『由香ちゃん、こんばんは~、テーブル同じでいいわよね?さあさあ座って。それから、コッチが大将のお任せ定食!今日は天麩羅の盛り合わせよ~。アナゴがメインでミョウガ、茄子、それから翡翠銀杏、変わり種でイチジク。さあめしあがれ!』
『『いただきます!』』
由香には悪いと思いながらも皆天麩羅を食べる箸は止まらない。
雪柳からの圧に気圧される由香であったが、
『そう言えばさ、入ってきた時、重い空気だったみたいだけど、どしたん?』
『そうですね…実は…』
雪柳が掻い摘まんでそれまでの皆瀬の話をする。
すると女将さんが由香のサバ味噌定食を持ってやってくる。
『由香ちゃん、サバ味噌お待たせ~!』
『やったぁ!今日は朝からずっと大将のサバ味噌の気分だったんだぁ~!いっただきま~す!』
待ち焦がれたサバ味噌をパクパクと食べ進める由香。
咀嚼を終え、
『皆瀬君は皆に認めてもらいたいんだよね?だからパパをいきなり雅樹さんって呼ぶし、瞬君が名前で呼ばれるのも悔しくてタメを張ってる感じかな?』
由香は大人達が口に出しにくい言葉をストレートに皆瀬にぶつける。
『皆、人に認めてもらいたいのは同じで、そこに優越感を持ちたいのも同じなんだよね~。でも、順番が違うんじゃ無いかな?』
由香は遠慮無く皆瀬に言葉を浴びせる。
『お酒飲めるアピールも、子供のヤンキー自慢と同じ様に聞こえちゃったよ。自分を認めてもらうには押し付けは逆効果だよ~?』
『でも、実際に飲めるし…』
何を注意されたのか解っていない皆瀬…
大将がまたテーブルに来ると…
『なぁ、ボウズよ…飲める飲めないは別にして、ボウズが余所の店で、このメンツで飲んだとする。そうすると何が起こるか…解るか?』
『俺が怒られる…』
皆瀬は早くココから逃げ出したい気持ち滲み出る。
更に大将は皆瀬を優しく見つめながら問い掛ける。
『なんでだ?』
皆瀬は何が正解なのかわからず無言になる。
『・・・・・』
『まず、未成年者は酒を飲んではいけねぇ。飲むのを黙って見ていてもダメだ。止めねぇと。周りや店からも責任の追及をされるかもしれねぇ。今回はハナちゃん達の店のメンツだ。最悪は店にまで迷惑がかかる。もちろん、店が提供するのもダメだ。さて、さっきボウズに皆はなんて言ったか覚えているかい?もっと法律や難しい言葉もあるが、ボウズが理解できないと意味がねぇからな。』
『こんなにアンタの事を心配してくれる人は中々いないわよ?しかもアンタは今日が仕事の初日だったんでしょ?初日にご飯に連れてきてもらえるって中々ないんだから…』
『剛!僕たちは年も同じだし、二人とも今日から働き出したんだから仲良くやろうよ!』
瞬は皆瀬を剛と呼ぶ。皆瀬が求めていた呼び方だ。
『お前に剛って呼ばれたくない!チクショー!』
瞬は困惑する…
それを見て雅樹達は苦笑する。
それを由香が咎めるように話す。
『皆瀬君はまず、空気を読めるようになりなさい。いきなり距離を詰めるのは逆効果だよ。人によっては圧力やプレッシャーを感じちゃうんだからね?そうですよね?雪柳さん?』
いたずらっぽく雪柳を見る由香。
雪柳も苦笑を浮かべながら頷く。
《さすが、雅樹さんとあの女帝の娘だ…鮮やかな反撃だ…》
椿は由香にやり込められる雪柳を見て心底楽しそうに声を殺して笑う。
そんな皆の様子を見て雅樹は、
『仲良くなれるといいな…瞬、剛。』
雅樹は呟いた。
『じゃあそろそろ解散しますか!』
雅樹の一言に皆頷く。
『じゃあ瞬君、パパ、家に帰ろ!』
『はい!由香さん!』
それを見ていた皆瀬は…
『おい!瞬…何で雅樹さん達と帰るんだよ!』
『いや、僕は雅樹さんの家に住んでるから…』
『何でだよ!聞いてねぇ!ズルいぞ!』
『そんな事、言われても…』
『瞬君は私の弟みたいな関係だからイジワルしないでね?』
『うっ…わかりました…』
何故か由香には頭が上がらない皆瀬。
『そう言えば香奈…ママに、ご飯は食べてくるって言うの忘れた…』
『ヤバッ、私も…』
『僕もです…』
『これはASAP、可及的速やかに帰って香奈が用意したご飯を残さずに食べるしかない…』
『そうね…』
『はい…』
こうして英家一同はなるべく急ぎ、運動する事で少しでも満腹感をどうにかしようと抵抗するのであった…
帰宅後の話は…また…いつか…
再び由香の無双です。
雪柳が何物なのか?
そして皆瀬はどうなるのか?
私の作品の登場人物は好き勝手にセリフを言うし、知らない間に作者に設定を持ち込み営業を掛けてきます…




