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魔法戦記  作者: チョコ


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4/11

4 心境の変化

リアンが連れられた謎の島は絶望的で、

船から出て階段を登った先にある建物は謎の秘められた場所だった

信頼できる仲間達とここから生き延びろ

 


数日後、変わらずリアンは仕事を続けている

すると、仕事場での会話が気になってリアンは聞き耳を立てる 


「あの子買われたらしいよ」


「まぁそうだよな、可愛かったもん。1回くらいは話してみたかったな」


「でもここから出られるなんていいよなぁ、やっぱり男はここで作業だけか…諦めよ」



「そこ!喋らず集中しろ!」

遠くから注意の声が響く



(やっぱりみんな諦めてるんだよ。無駄に期待するだけ無駄無駄。仕事に集中しよう)

慣れるはずのない環境に適応し始めていることにリアンは何も感じなかった



仕事終了寸前、全員が整列させられる

点呼をし終えた辺りで奥の方で1人が倒れた


リアンが振り向くと、それがハリーであるのがわかる

近くにいた大人がハリーの様態を確認する

確認が終わるとすぐに抱えて建物へ向かっていった


「ハリー君、大丈夫かな…そういや食事も貰ってばっかだったし、」

 


不気味なほど赤い夕日

隣の部屋にハリーが戻ってくる音がした


リアンはすぐ立ち上がり、半分に分けたお肉を急いで持っていった


扉を軽く叩いて言う

「ハリー君、お肉食べる…?」


すると…

「食べないよ!来なくていいよ!」

ハリーは声を上げて叫んだ

 

「急にどうして…?」

扉を開けようとしても閉ざされている

 

「ずっとそこにいるつもりか?」


「いつも貰ってばっかだったから、今日くらいはと思って」


(早くあいつをどかそう…)

そう思い、ハリーは扉の鍵を開ける


「ハリーく…」

顔が見えるくらいしか扉を開けてくれなかった

「お肉分けたからさ、食べて欲しいな」 


「だから食べないよ」


「な、なんで…?」

  

「だって俺はみたんだよ、あいつらが俺ら子供を食べてるところを…!こうやって全く食べなければそれを回避できると思ったけどそうしたら次は栄養失調で倒れて!」


「…だから、何も知らない僕にお肉を分けてくれたの?」


「そうさ、お前がなってしまえばいいと思ったよ」


「……でも、ハリー君前諦めてたって…!」

 

「ホントに信じるなんてバカだよ。こんなとこ早く出たいに決まってるじゃん」


ハリーの心の内が露わになり、リアンの信頼は完全に崩れ去った

だが、ふとリアンの視線に、開いた扉の隙間からソースの跡が残るお皿が見えた


ハリーはその視線に気づくや否や、手を伸ばしてリアンの持つ肉を奪った

 

「え…?どういうこと…」

 

リアンが困惑しているうちに扉を強く閉めてしまった

 

わざわざ食べないようにしていたがそれは無駄な努力だった。ハリーはその苛立ちをぶつけるようにリアンを突き放す



ハリーの感情の起伏に、憤りを越えて恐怖を感じた

諦めていたのは自分だけだった。いや、諦めるように仕向けられていたと知る

 

それから、ハリーとの交流はなくなっていく

 

信頼できると思っていた人はリアンを陥れようとしていたのだから。そう思えば最初会ったときもそうだ

「何故仕事の時間を教えてくれなかったのか」

叩かれて横たわっている間、集団の中でハリーは笑っていた。そうに違いない


 


次の日の仕事

明後日の方向を見て整列に並ぶハリー、距離をとってリアンも列に並ぶ

 

今日も木を切り続ける

そんな中、リアンの脳内で良からぬことが考えつく 

(今持ってるこの斧で大人を殺したらもしかして脱出出来るんじゃないか?後は人数さえいれば……)


するとリアンの肩を叩く音、振り返ると――

  

「作業止まってるけどどうしたの?あんま長く止まってると怒られるぞ」

そう言ったのは、昨日脱出を提案してきた男の子だった


「あの時の…」

リアンは真剣な顔で続けて言う

「君、脱出するために仲間集めてるって言ってたよね。ちなみにその仲間は今ここにいる?」


「脱出する気になった?」


「もちろん、この斧さえあれば」


男の子は渋い顔をして言う

「お前まさか…それはしたらいけない」


「なんで…?大人相手なら武器を使うしかない」


「あっちにはこの斧以上の力があるから、あれはまさに"魔法"だ。俺も最初はこんな武器にもなるものを与えられるなんてあまりにも無防備すぎると思っていた。でも昔、隙を見て斧を振り回す人が現れたその時、謎の光とともにその子の腕が消滅したんだ」


「なんだよそれ…」


「その子供はそれ以降、仕事が出来なくなり最終的に売られたさ」


「なら、腕と引き換えにこの島を出られたということか」


「それでいいと思う?その子は腕がなくて可哀想だからって買われたんじゃない。仕事ができなくなったその子の最後の利用価値が、臓器を売る。その選択肢しかなかったんだ」

「あの光が何かは分からない。でも、あの光はあの時以外見たことがない。だからやめておこう」


リアンは一呼吸置いて言う

「…あなたの名前は、なんですか」

 

「ブランと言います。こんな理不尽から早く抜け出しましょう…!」


リアンの魂に火が灯る。以前の諦めていた自分を払拭し、前へと歩き出す


今回こそはとブランを信じ、今日の食事中に集まることを約束した



そして仕事が終わり、食事が配られる

そのタイミングでリアンの部屋に連行人が訪れる

「来い」


「今から…ですか?」


「いいから来い」

それからは連行人は一言も発さず、ただリアンの肩を掴んで、迷いのない足取りで進んでいく。行き先は、同じ階の「聖域」として恐れられる立ち入り禁止の区域

 

辿り着くと、自分以外の人も集められていた。その人達は最初の船内で見た覚えがあった

 

人数が集まると、1人が巨大な扉を開ける。その先には異質な空間が広がっていた

真ん中に悪魔の銅像が掲げられ、2階フロアから仮面を被った大人達がこちらを覗いている


 

「何が起こるんだ…」

 

銅像の目が不気味に光る

その光に飲み込まれ、子供達は呆然と立ち尽くした


すると、連行人がそれぞれ子供の首元を確認して回り出した

ある人は何もなく、ある人は連行人の持つ紙にチェックをされる


そして自分の番になった。すぐ近くで羽ペンの擦れる音が聞こえてきた。紙にチェックマークをされたのだ

だが、何をされるわけでもなく、連行人は次へと進んでいった


恐怖に包まれていたリアンの心は、やがて得体の知れない困惑と、少しの恐怖が入り混じった奇妙な感情が芽生え始める



 ………………


「本当に、何も無かった…」

部屋に戻るリアン、開放感から早足で戻る

しかし、扉に手をかけようとした時だった。少し扉が開いていた。急いで開けると、床に食いかけの料理が残った食器が落ちていた

鍵を閉めてなかったことに気づき、誰かが侵入したのだと察した


そうして食いかけの残った飯を食いながら呟いた 

「やっぱこの島クソだ…」



 

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