3 謎の島
リンシルを輩の手から引き剥がす勇敢なリアン
必ず明日会うと約束したものの、下校中に何者かによって連れ去られてしまう。報復とも見られる結末にリアンはどうなってしまうのか
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夜になっても帰ってこないリアンに両親は不思議がり、外に出た
すると、少し歩いたところで悪い予感は的中する。1つのカバンが置いてあったのだ
母親は走り出し、そのカバンを手に取る。勢いよく開けると、教科書に書いてある「リアン」の文字
すぐに夫を連れて治安官を呼びに行く
………………
夫が治安官を連れて戻ってきた
「このカバン、持ち物、完全に私の息子の物です。お願いしますリアンの捜索をお願いします!」
「分かりました。このカバンは何時頃に見つけましたかね?」
「18時くらいです」
「下校時に何者かに襲われた可能性がありますね。後は任せてください」
「ありがとうございます!」
そこでリアンの母が気づく
「あれ…(お守りだけはない…)」
「どうか、されましたか?」
「あっいやなんでもないです。ではお願いします」
頭を下げながら見送る親達、治安官が見えなくなったところで家の中に入る
ザッ…ザッ…
治安官は戻ってその光景を意味ありげに目視していた
………………
揺らされながらどこかへと向かっている
意識を取り戻すと、拘束され、小さな部屋にいるのがわかった。死ぬのか、それとも何が……
揺れが収まると、目線の先の扉が開く
開くと同時にまばゆい光と、知らない大人(連行人)がそこに立っていた
「行くぞ…」
低い声と共に、大きな手の平がこちらに伸びてくる
拒絶しようにも拘束されていて振り払えない。そもそもこんな大人に力で勝ることは出来ない
首根っこを掴まれ、半ば強制的に歩かされる
部屋を出るとそれは地獄の光景だった
自分と変わらないくらいの年の子供が何人も同じ様に歩かされていたのだ
「どこだよここ…!助けて!」
泣き叫ぶ1人の子供
するとその瞬間――
バチィン!!
その子供に放たれる張り手が辺りを緊張に包んだ
逆らったら殺される。その思いだけで全員は歩き続けた
謎の島に降り立ったこの船
建物を出て、リアンは自分が船に乗せられていたことを知った
島で出迎える1人の男、そしてその奥には黒く塗りつぶされたような、異様な威圧感を放つ巨大な建物がそびえ立っている
リアン達はそこへ連れられる
連行されたのは地下へと続く階段の先だった。空気は湿っぽく、錆び臭い匂いが入り混じっている。監獄のような無機質な空間に、リアンは放り込まれた。
扉を閉める直前、連行人は言う
「見てわかる通りここは島だ。脱出しようとしたってすぐ見つかるか、海の藻屑となるかだ」
鎖を外され、部屋の鍵を渡される
「好きにするといい」
「またこんな牢獄みたいな場所…」
リアンは反発しようと声を出そうとした。しかし、直前で声が詰まる
そしてその連行人はどこかへと行ってしまった
リアンは慎重に扉に手をかける。足音を聞いてどこかへ行ったのを確認してから扉を開けた
「こんなところ…早くお家に帰りたい」
リアンは鍵を握りしめ走り出した
地下通路の階段を駆け上がり、外へと出る
しかし、ようやく外の空気を吸ったリアンは、目の前に広がる光景に立ち尽くした
海を初めて見てもそこに喜びはなかった。どこまでも続く水平線がリアンを絶望させる
「無理だ…脱出なんて無理だよ」
「なんでだよ…どうして僕がこんな目に…!!」
泣き崩れるリアンの背後に、気配が近づく
「脱出しようとしていたのか?」
連行人にバレたと思い、恐る恐る振り返ると、そこには自分より頭一つ背が高い青年が立っていた
「君も脱出しようとしてたんだね。やっぱりみんなそうなんだ」
「や、やっぱり?」
「ここに連れられた奴らはみんなそう、最初にあぁ言われて脱出しようとするんだよ。でも、当然出来ない。出来るはずがない!逃げ場がないことを完全に思い知らされるだけなんだ」
「俺の名前はハリー」
「僕はリアンです…、でもハリー君はどうしてそんなに冷静でいられるんですか…?」
「冷静なんじゃない、もう諦めてるんだよ。俺達は売られ、利用されるだけだから」
「なんだよそれ、そんなの諦めきれないよ!まだみんなと遊んでたいのに」
「まぁそう言うのも今のうちだな。部屋隣だからこれからよろしくね」
ハリーは一足早く部屋へと戻っていった
「諦めるなんてあり得ないよ…でも…」
リアンはその場に項垂れた
土がつこうとおかまい無しに地面を叩く
ハリーがいなくなってから時間が経った
仰向けになって空を見つめるリアンのもとに連行人が歩いてくる
「おい何してる、もう時間だぞ」
状況が理解出来ないリアンに向けて続けて言い放つ
「この島での仕事だ。来い」
断る隙もなくリアンは連れて行かれる
連れられた場所は建物のその奥、木が生い茂る場所、そして荒れた岩場
目撃した光景は、大人が男の子達50人程を集めている様子。目に光のない子供達が一糸乱れず揃って座っていた
リアンに気づきその大人が近寄る
「時間に遅れるとは」
「知らなくて…」
「見ない顔だが仕方がない。この程度だ」
バチィン!!
リアンは頬を叩かれる
痛みにうずくまるリアンに向けて言う
「誰であろうと遅れたらこうなる、しっかり覚えておけ」
木の伐採と鉱石の採集、それが島での仕事
報酬はその日の食事
「頑張れ、耐えるんだ自分」
リアンが木を切っているところに、同い年くらいの人が近寄ってきた
「あんた、誰からも教えてくれなかったんだな」
「あぁ…はい」
「ここにいる奴ら皆余裕がないからさ、教えようだなんて優しい心はないんだよ」
「そうなんですね…」
その男は辺りを伺って言った
「今、脱出する計画を立ててるんです。その仲間を探そうと思ってて声をかけたんだけど、どう?ここから出たくない」
「そりゃあ今すぐにでも出たいけど、流石に無理だと思うよ」
「まぁそうだよね、気が向いたらまた声掛けてよね」
「うん…」
諦めずにこの島から抜け出そうと頑張っている男
リアンにとって無謀としか感じられなかった
仕事が終わって夕方になった
部屋に戻ると、報酬としての食事が配られていた
「みんな今頃、何してるんだろう…」
こんな島でも、自由に遊んでいる子供達がいる。リアンはそれを見つめていた
部屋がノックされると聞こえてくる
「肉、食べるか?」
ハリーが肉を分けてくれた
「こんな半分以上もいいの?」
「全然いいよ、こんなとこいて食欲なんか湧かないし」
「それなら遠慮なくもらうね、ありがとう」
(やっぱり脱出なんて無駄だ、こういう小さな喜びを噛み締めてその時まで生きていこう…)




